GE2

□白雪となりし少女は
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やはり、そこにいたのは最近榊に紹介されたブラッドの隊長と、その背後には彼の補佐役である少女がこちらを見ていた。
口元の動きからして、今回の件を報告している様だが、少し様子がおかしい。
察するに、オペレーターが彼らが全て倒した、と解釈したのだろう。

『ブラッド』は発足して、それほど立ってはいない。
救援任務自体それ程多くはないし、大規模討伐もなく、今は嵐の前の様に一般のGEでも平然と任務をこなしている。

なら、この任務のハプニングを処理する為に出撃させられたのだろう。
そう思うと、少し気の毒だったのかもしれない。

そう思い、彼らを見ていると、どうやら青年の方が自分に気づいた様だ。
驚いた様に目を見開く青年に、カンナは小さな笑みを浮かべると、シーッと子供に内緒を言い渡す様に、唇へ人差し指を押し当てる。
相手が誤解しているなら、今はそのままでいいだろう。






それに……一番避けたいのは、カンナ自身の事。


中堅とも言うべき入隊した時からお世話になっているメンバーには、理解があるのだが、自分が引退して後に入ってきた新人は、自分の事を知らない。
もし、知っていても元GE程度の認識。
それくらいが、カンナにとっては有り難いのだ。
自分は学者であり、こうして戦場を走る事は本来許されない人間だ。
それなのに、こうして何十体ものアラガミを倒している、だなんて広まれば、それは疎まれる原因となり、自分の夢を後押ししてくれた第一部隊の仲間達に迷惑がかかる。
それだけは、絶対に阻止したい。


カンナの暗号に気づいたのだろう。
青年は通信を止めると、後ろに控える少女と共に消えて行った。
多分、これから帰還するのだろう。
カンナも自身の無線機に手を当てると、慣れ親しんだ名を口にする。


「ヒバリさん、終わりました」

《はい。お疲れ様でした……そちらにブラッドが向かったのですが》

「はい。確認しましたよ。今は帰っていった様です」

《そうですか。カンナさんも大変ですね》


淡く苦笑を含んだ声に、すみません、とカンナも苦笑する。
多分、彼女にはお見通しなのだろう。
カンナが騒がれる事を嫌っている事も、それでもこうして新人の任務になんだかんだ理由をつけて同行している理由も。
だが、それを言わずに黙認してくれる彼女の優しさには、本当に頭が上がらないな、とカンナは内心でぼやいた。


《今、ヘリの手配をします。それから……洸さんとソーマさんが『帰ってきたら、速攻でミーティングルーム!!』と》

「……あぅ」


クスッと笑う声に、カンナが呻く。
どうやら、従兄弟と彼氏はご立腹な様だ。
帰ったら、すぐさま二人による説教会が待っているかと思うと、気分がどんよりと暗くなるのだった。
































白雪となりし少女












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こちらは、カンナサイドのお話しです。
一応、戦場を舞うは彼の白雪の対となる……予定;;



カンナの二つ名、『悠久なる白(スノーホワイト)』は所謂カンナの名前を出して話したくない時に暗号だったりします。


カンナがGEを引退した事により、彼女の事をよく知らない新人達が彼女を悪く言わない為に、中堅や古くからアナグラにいる皆さんが、守る名目で作られたのが、この二つ名。


因みに、名付け親はソーマという設定(笑)

その時のエピソードものんびり書けたらよいと思います。


更にどうでもいいのですが、洸ちゃんの二つ名的なモノは『悪魔』と『黒狼』だったりします。
『悪魔』に関しては、ソーマとセットで使われる事が多い(前の話を参照)のですが、『黒狼』に関しては彼が隊長に就任して以降、誰かがそう呼んだ事が始まりという、無駄に中二病乙な設定。




……楽しければそれでよし!!!←













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