GE2

□時限爆弾の行方
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「兎に角!ボクは、これからもずっと第一部隊で働くつもりだよ。隊長になるつもりは無し!」


それでいい?と恥ずかしさを誤魔化す様に捲し立て、この話を中断した。
と、ナナがそれって、と首を傾げる。


「ミゥさんって、コウタさんが好きって事ですか?」

「………はい?」


ナナの言葉に、ミゥが気の抜けた声を出す。
一体、どこでその結論に至ったのだろう。


「だって、ミゥさんはコウタさんが心配だから、って極東に残ったんですよね?それって、コウタさんが好きじゃなきゃ出来ない事だと思うんですよ」


どうですか?と目を輝かせるナナに、ミゥの表情が引き攣る。
どうにも、彼女は未知な部分が多過ぎる。
どう切り返そうか、と悩んでいると、成程とエリナが深刻そうな表情で頷く。


「確かに、ミゥさんってコウタ隊長と一緒にいる事が多いですよね。洸さんとアリサさんの事もあるし、第一部隊って部隊内恋愛が盛んなんですね」

「え?それってどういう事なの、エリナちゃん!」

「第一部隊って、結構恋人同士が多い印象があるんだよね。クレイドルの隊長も、部隊内に彼女がいる位だし。ヒナの親代わりだって」

「あーーーーー!!!勝手に盛り上がらないでよ!!!!」


完全に、自分とコウタが付き合っている事を前提に進む話に、慌ててミゥが待ったをかけた。
このままでは、話が一気に飛躍してしまい、取り返しがつかなくなる。
話を中断されたエリナとナナは、不満そうに唇を尖らせる。


「え〜〜。ミゥさん、恥ずかしがり過ぎですよぉ」

「いや、普通に考えてボクとコウタ君が、恋人同士な訳ないでしょ?エリナも!!普段ボク達の様子見てて、分からないかな?」

「いえ、もう感じが熟年カップルって位、息ぴったりな事しか分かりませんよ?」

「それは、長く一緒に仕事してるからであって……」

「おぉ〜い。何の話してんだよ!」


通信が終わったのだろう。
何やら揉めている様子の三人に、不思議そうな表情でコウタが近寄ってくる。
その瞬間、しめた!とでも言いたげに、ナナが彼に近寄っていく。


「コウタさんとミゥさんって、恋人同士なんですか?」

「へ?俺とミゥ?いや、ないってそれは」


何の冗談だろうとでも言いたげに、楽しげにコウタが笑う。
そして、軽い調子でポンポンとミゥの頭を撫でた。


「ミゥとは長い付き合いだし、昔から妹が増えたみたいな感覚があるんだよなぁ」

「……そう思うなら、その『妹』に指摘されるまで、報告書を提出しない所、早急に治すべきだって思うよ?」

「いや、この前は悪かったって!ちゃんと、埋め合わせに夕飯奢っただろ?」

「へぇ〜〜………その程度で、30回分の任務報告書を代わりに提出したボクへの労いだったんだぁ」

「さ、さぁて!!チーム1と合流する様にって指示が来たから、移動するぞ!!」


そそくさと神機を手にするコウタに、エリナとナナも興味を失ったのか、彼に倣って神機を持つ。
もう、この話に触れてくる事はないだろう。
ミゥも自分の神機の調子を再度確認する。


(……本当に、それでいいの?)


ピクッと神機を撫でていた指が止まる。
自分の中で響く声に、ミゥは少しだけ苦しげに表情を歪めた。


「仕方ないよ」

(ミゥの嘘吐き。今だって、凄く苦しいと思ってるくせに)


そんな事、分かってる。
それでも………この感情を認める事は出来ない。
もし、認めてしまえば―――――今よりずっと辛い思いをすると分かっているから。


「ミゥーーー!!行くぞーーー!!」

「あ、うん!!!!」


考え事に更けていたせいで、もう三人は先に進んでしまっている。
ミゥは慌てて自分の神機を担ぎ、その後を追った。

胸の奥に抱えた淡く色づいた思いに、厳重に蓋をして……


































時限爆弾の行方



(絶対に認めない)

(苦しむのは)

(ボク一人で十分なんだから)








――――――――――――――――

ずっとボツにしていたネタ解禁(苦笑)

ミゥは、元々コウタを相手役とした子だったのですが………ずっとボツにしてました。
ミゥのキャラクター設定上、彼女の立場や家柄を考えれば、この恋がハッピーエンドには絶対ならないと思ったので。

カンナの複雑な出生事情や、心に傷を負った洸とは違う、ミゥの少しリアルな家柄事情。
それを乗り越えて、恋人を選ぶ事が果して本当に幸せなのか。

水無瀬としては、その辺りが微妙でした。

ですが、この度解禁しようかと。
………変な話、水無瀬が一番評価して頂いた小説が悲恋や切恋なんですよね。

ハッピーエンドになるかは、解りません。
もしかしたら、辛いだけの恋かもしれません。
でも、そういうのもいいかなって思ってます。
切なく甘い、GEBとは違った魅力を得たミゥをGE2では描いていきたいと思います。

勿論!!カッコよく成長したコウタも一緒に。







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