GE2

□愛情と理性は喰い違う
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■□■□■


「ちょ、ちょっと、洸!!」


特に目的地もないらしく、スタスタと進んでいく彼に、アリサが非難交じりの声を上げた。
彼にしては、要人に対する接し方が雑過ぎる。
カンナは、普段からあんな感じではあるが、洸はもっと違った筈だ。

洸は暫く、アリサの声に全く反応を示さなかったが、人気の無さそうな場所へと着くと、クルリとアリサの方へと向き直る。

そして、そのまま彼女の身体を抱き締めた。
いきなりの行動に、アリサは驚いて身を固くする。


「………あ〜〜〜、しくじった」

「洸……?」

「まぁ……アリサの言う通りで、あれはないよな、俺。折角、アリサ達が頑張って繋いでくれた繋がりだってのに、俺の態度でまた白紙に戻されでもしたら、俺、自己嫌悪で死ねそう」


はぁ、と重々しく溜息を洩らし、アリサの肩へと顔をうずめる。
彼らしくない行動に、アリサは少しだけ戸惑いつつ、そっと洸の背に腕を回す。
何日かぶりに感じる彼の体温は、少しだけ高く感じる。
そういえば、少しだけ息が上がっていた様な気もした。

『要人を放り捨ててダッシュって』

ふと、そう言って怒っていたカンナを思い出す。
つまり、彼はここへ到着した瞬間にカンナには目もくれず、ここまで走ってきたという事だろう。
これも、家族を大事にしている洸らしくない行動。


「………洸、任務はどうしたんですか?」

「んぁ?速攻で片づけて、事後処理は雨宮夫妻に丸投げしてきた」

「それって、良いんですか?」

「よくは……ないだろうな。でもさ、アリサが悪い」

「はい?」

「あんな声出されたら、仕事なんてしてらんないっての」


あんな声、とは一度だけ繋がった通信の事だろう。
あの時、不覚にも……そう、とてつもなく不覚にも泣いてしまった。
そんな自分を、洸は優しく受け止め、励ましてくれた。
だからこそ、こうしてネモス・ディアナとの交渉に踏み切り、こうして支援を受けてくれる様になったのだ。

グッと彼の抱く腕に力が籠る。


「隊長として、失格だよな。俺、どうしてもアリサに会いたくなって、仕事片っ端から無理矢理片づけて、事後処理全部投げ出してさ………従妹に屁理屈ごねて無理にヘリ乗せてもらって…………カッコ悪っ」


「はい、ドン引きな位にカッコ悪いです」

「だよなぁ」

「でも―――――」

「ん?」


そっと手を伸ばし、優しく彼の頭を撫でる。
少し癖のある柔らかな髪。
何度となく撫でている筈なのに、こうして触れ合うのが何年かぶりな気分になる。
本の数日離れていただけだというのに……



「洸に会えて、とても嬉しいです」

「………そっか。俺も、アリサが傍にいないのは、すげぇ寂しかったよ」

「私もですよ、洸」


少しだけ体を離して、笑いあう。
今までは当たり前だった筈の事だった筈なのに、こうして遠くの地へと行く事が増えるであろう今後は、もう会える時間は限られてくるのだろう。
そう思うと、少しだけ寂しく思えた。


「………酷い戦闘だったみたいだな」

「はい………」


ふと、彼が思い出したように呟く。
締結する前にあったアラガミの襲撃により、また多数の死者や負傷者が出た。
その中には、アリサとソーマを匿ってくれた八雲も含まれている。
彼の死は、未だにアリサの中で暗く沈んだまま、悲しみが込み上げてくる。

また、涙で滲みそうになる瞳を、優しく洸の指が撫でた。


「あまり泣くなよ?これ以上赤くしたら、明日痛くて仕様がなくなるぜ?」

「そう、ですね……」

「結局、俺達に出来る事ってのはこの手が届く範囲内で、必死に戦う事だけ」

「分かってますよ、それ位」

「分かってないだろ?それって、逆を言えば俺達がこうしている限り、守れるモノがあるって事だよ」


誰かを守りたい……
それは、彼の目標であり、夢であり、目的だ。
そして、その思いは自分も同じ。
死を悲しむ事も大事だが、それ以上に見失ってはならないモノもある。
滲む涙を振り払う様に首を横に振ると、アリサは笑ってみせる。


「はい!ちゃんと分かってます」

「ん。取り敢えず、市街地の様子を見て、手伝える事をするか」

「あ、なら私、炊き出しのお手伝いを…」

「いや、アリサは配るだけで十分だから。料理は俺がやるから」


よし、と気合を入れる彼女に、洸がキッパリと言い放つ。
アリサは、何でですかぁ!!と頬を膨らませたのだった。





























































愛情理性は喰い違う










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GE the 2nd breakより

これ、ただのバカップルにしか見えないですね。
いや、たまには洸とアリサがイチャイチャしてるのを書きたいなぁと思ったんですよ。

てか、今更なんですが………この二人でキスシーンって書いた事ないんですよね。
カンナとソーマは2作品あるんですけど……あれ?なんでだ?

結局、この話もキスシーンは無し。


他のCPよりも甘い話が多いのになぁ;;


そういえば、GE2も漫画化が決定しましたね!!
今から、とても楽しみです!!!




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