長編
□序章〜にちじょう〜
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いつもと同じ、日常。
何時もと同じ風景
それには何一つ例外は無く此処、喫茶『楽園』も同じである
「お待ちどう様、一騎カレーです」
そう言いながら、カレーを客人にだす彼女、遠見真矢も同じいつもの風景の一こまである。
「ヘイよ、米茸2セット」
溝口恭介、この喫茶楽園のマスターである彼も同じである。
「溝口さん、追加ね」
真矢はそう言うと、溝口が「えぇ!?」と驚くのをよそに、品を客人へと持っていく。
ちなみに一騎カレーの「一騎」の由来である人物は、溝口の隣で、瞳を閉じながら、手探りで、目当ての品を探している。
「一騎カレー2セット追加ぁ!」
溝口の声に彼、真壁一騎は呆れながら「やめてくださいよ」と言うが、溝口は笑いながら、「お前がウチの看板なんだよー」と言う。確かに一騎は家の事情から料理が得意である。
が、溝口の余裕は真矢の一言で脆くも崩れていった。
「溝口さん、出前。アルヴィスに」
「えぇー!?」
だが、出前ではしょうがないのか、しぶしぶ「今日は祭りもあるってのにー」と言いながら、自転車をこいでいく。