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□神のいた世界
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「…着いたぞー。」
朝、日が昇る前に城を出た2人。
見送りはバルトとシェリア、そしてミリーだけだった。
シールドは普段着ていた騎士の恰好ではなく、ラフな恰好だった。
しかし腰にはしっかり剣がささっていた。
「…思ったより早めに着いたな。まだ船まで時間あるだろうから街の中ぶらつくか。」
カレンは頷いてシールドに着いていく。
「そろそろフードとっても大丈夫だぞ。この街はリフストロより顔見知り少ないしな。」
そういわれてカレンはフードをとった。
すると今まで見えなかった光景が見えてカレンは目を細めた。
「港町、アルバンゲート。この国の入口さ。」
『…アルバンゲート。すごい綺麗な街。』
街は海の反射でキラキラしていた。
「アルバンゲートは海が近いからよくこんな風な景色が見れるんだ。とりあえず行ってみようぜ。」
そういうと2人は街を目指して歩きだした。
街の中に入るとまだ朝早くなのにも関わらずたくさんの人で賑わっていた。
『…すごい人…』
「ここは市場だからなぁ。朝から賑わっていてもおかしくないさ。さて、船のチケット買いに行くぞ。」
数分歩いて港付近まできた2人は小さな小屋の前で止まって店の人とシールドは話しだし、カレンは辺りを見回した。
たくさんの船が港に止まっていて漁師が魚を船から降ろす作業を手際よくやっている。
しかし、漁師が手にしている魚は今までみたことのない魚ばかりだった。
「船は後1時間で出るらしいぞ。って、どうした?」
チケットを買い終えたシールドがカレンの見てる方を目線で追い首を傾げる。
『…この世界の魚と私がいたとこのは全然違うなぁって。』
「今あのおっさんが持ってるのはこっちでは結構スタンダードな魚だぜ。ムニエルにしたら美味いんだ。」
『そうなんだ。てか、私まだ行き先聞いてない…。』
カレンは忘れてた大事な事を聞いた。
「あ〜、水の国。」
『…水の国?』
「そ、いいか?今俺達がいんのはここ。」
シールドは懐からおもむろに地図を取り出して指を指す。
『…なんて書いてるの?』
「炎の国。」
……炎に…水…?
カレンは何か引っ掛かり眉を潜める。
「お前が考えてる通り、国の由来は神から来てる。炎の国は遥か昔に炎の神が作り、また神の立ち位置だったんだ。」
『神の立ち位置?』
「歴史書の最初に書いてるんだが、神には守る場所…すなわち立ち位置が決まっていたらしいんだ。ここが火の神で左から順に雷・水・土・風・光・緑ってな感じで。それがそっくりそのまま国になってんだよ。」
カレンは首を縦に振りながら地図を見る。
「で、1つの国に対して1人の神の子がいるからそいつを探しに行くって訳。」
『それなら雷の国から先に行った方が近いんじゃないの?』
「ん〜そうなんだが…実は水の国の噂を聞いたんだ。」
『噂?』
「たまたま城に来てた水の国の商人に聞いたんだが、水の国のどこかの街で万能水を作ってる一族がいるらしいんだ。」
『万能水?』
「何にでも効果のある水の事。そんな不思議な力があるそいつらなら誰かが神の子って可能性が高い訳。」