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□神のいた世界
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最後に聞いたユキの声は苦しそうで辛そうで…
でもとても安心したようなそんな声だった。
『……ユ…キ…』
カレンは涙が止まらなかった。
『…ッ…ヒック…』
ユキだけが私の存在をみてくれた。家族からも学校からも必要とされてない私を………ユキだけは……。
『…でも…ユキは……』
消える寸前、ユキの生気が消えた。
カレンの心はとても不安定だった。ユキがカレンの安定剤だったから。
〔…ソコデ泣イテルノ……誰?…〕
ふとかわいらしい声が聞こえ、カレンは顔をあげた。
『あ…』
そこには様々な色をした薔薇の花達が無数に広がっていた。
〔アナタ誰?私ノ声聞コエルノ…?〕
目の前の赤い薔薇が揺れ、カレンに話し掛ける。
『あ…私は…』
カレンがそこまでいうと
〔……伝説ノ巫女…ダ…〕
また別の薔薇が話し始めた。
〔…巫女様ヤッパリ…ユキ様ノ…言イ伝エハ…ホントダッタンダ!!!〕
そこでカレンは目を見開いた。
『今…ユキって言った…?』
〔ウ…ン…ユキ様は…6大神ノ1人…緑ノ神様ダモン。私達ノ神様デ母親的存在ダヨ。〕
カレンは驚いた。
ユキは千年、あの丘にたっていた。
ユキが話してくれたあの戦いの話が本当ならあの話は千年よりもずっと前になる。本来、そんなに生きることはできない。
でも神なら……それもありえる。
でもユキは……
『…死んじゃった……』
〔え…〕
『…ユキは…死んだ…』
またカレンの瞳から涙が溢れた。
〔巫女様、ユキ様ハ…死ンデナンカイナイヨ。〕
また違う薔薇がゆっくりと話し始めた。