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□神のいた世界
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−翌朝−
カレンは身支度を済ませて部屋を出た。前の晩にバルトとシェリアから一緒に朝食を食べようと誘われていたからだ。
『…にしても広いなぁ。』
カレンは廊下の天井を見上げながら呟いた。
…お城ってこういうものなのかなぁ。
1日経ってだいぶ頭の整理がついたが、どうしてもこの城は慣れるのに時間が掛かりそうだ。
『ま、いっか。別に慣れなくても。』
……アッサリ自分の中で自己解決したカレンは足早に食堂へむかった。
食堂につき、カレンは扉をゆっくりと開けた。
バルトとシェリアはもうすでに着いていて、カレンに気がつくとニッコリと笑った。
「おはようカレン。昨日はゆっくり眠れたかい?」
バルトは優しく聞いた。
『…あ、おはようございます。ベッドがふかふかで…とてもよく眠れました。』
カレンはメイドさんに促されて、椅子に座った。
「それはよかったわ。あんな広いベッドだから落ち着かないんじゃないかって心配してたの。」
シェリアは紅茶を啜りながら苦笑した。
『…気を使ってもらってすいません。』
「カレン、君が謝る事じゃないよ。僕らが好きで心配してるんだから。僕らはカレンに甘えてもらいたいくらいなんだから。」
「そうよ。シールドなら死んでも嫌だけどカレンなら大歓迎よ☆」
「……大丈夫ですよ。死んでも甘えたりなんかしませんから。」
振り返ると扉の前に書類を持ったシールドが立っていた。
「…あ〜ら、シールド。いたの。」
シェリアはわざとらしく言う。
「…ちらっとこっち見てから言ったくせに…よく言うよ。」
シールドはため息混じりに言い捨てると書類をバルトに手渡した。
「それ、一昨日の城下襲撃の報告書。あ、コーヒー用意してくれ。」
メイドにコーヒーを注文し、カレンの向かい側の椅子に座った。
「ご苦労様。悪かったね、無理言って作らせて。」
「別に。被害もそこまででかくなかったし、死者も出てない。まぁ、結果オーライってとこかな。」
そういいながらでてきたコーヒーを啜った。
「…でも徹夜だったんでしょ?目の下クマできてるわよ。」
シェリアがそういうと
「…義姉さんみたいにいつまで〜も残ってヒステリ起こしはしないので、ご心配なく。」
「…なんですって?」
朝からシェリアとシールドはギャーギャーと言い合いし、はっきり言ってうるさい。
そんな中、バルトはほのぼのとしながら書類に目を通している。
この3人って…なんかすごいな…。
貴族にもなるとみんなこんなんなんだろうか…この中で自分が1番まともかもとカレンはしみじみ思った。