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□好きだよ。
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「せーんせ?」
『……。』
「せんせー聞いてる〜?」
『……。』
「ちょっと〜無視しないでくんない?ねーってば!!!!!」
『ダァーッ!!!!!っもう!!!!!何の用なのよ、高崎君!!!』
「あ、やっと反応した♪せんせー、そんな眉間に皺寄せてるとカワイイ顔が台なしだよ♪」
『よ、余計なお世話よ!!!』
「あ、赤くなってる。かぁ〜わいいvv」
『ちょっ!!!!何すんのよ!!!』
「何って抱き着いてる〜♪」
『そうじゃなくて!!!!離しなさいぃー!!!!!』
「やだぁ〜♪せんせーめっちゃ抱き心地ち最高♪♪」
『人の話を聞けー!!!!!(怒泣)』
みなさん、こんにちは。
なんか最初からウザイ感じですいません。
でも毎朝こんな感じなんです…
私、佐伯菜子は高校で教師やってます。まだ1年目のぺーぺーだけど…。
でも教師の仕事は楽しいし、生徒もみんな【なぁちゃん】って言って懐いてくれてるから本当に充実してるよ?
冒頭の事を除けば………
「せんせーってさぁ、ちっこいけどすぐに見つけられる。俺って天才じゃね?」
さっきから私にへばり付いているのは高崎朔夜。高2で私の生徒。
そう、生徒なんです。
なんでか知らないけど私に異常に懐いちゃって…今私の1番の悩みの種。まぁ、かわいい教え子に懐かれるのは嬉しいんだけどね。
『…高崎君、いい加減離してくれないかなぁ?職員室行きたいんだけど…。』
「え〜もう行っちゃうの?やっと会えたのに…。」
きっと犬耳が付いていたら下に垂れ下がっているだろう程にしゅんとする高崎君。
『…やっとって…昨日も会ったじゃない。』
「そうだけど!!!俺は1分1秒でもせんせーと一緒に居たいんだよ。」
ぶぅと頬を膨らませて拗ねる朔夜を見て菜子は顔を赤くして俯く。
「…せんせー照れてる♪」
下から覗きこむように見てくる朔夜に菜子はドキッとする。顔がすごく整っている朔夜。普段はワンコのようだが、時たま信じられないくらい大人っぽい。
女の中でも菜子は160cmと小さい訳ではないが、185cm以上ある朔夜は菜子を小さいと言う。
「もう!!!!とにかく、私本当に急いでるからどけて!!!」
顔を赤くしながら菜子は朔夜に言うと朔夜はクスクス笑って菜子から離れた。
「あーあ、先生はいーつも俺を邪魔者扱いするんだ。酷いよねー。」
『え?そ、そんなつもりないよ?ごめんなさい…邪魔なんて思ってないよ?ね?』
「…ふ、先生ってホントに素直でかわいーよね♪マジで俺メロメロ〜♪♪」
そういうと朔夜は菜子に再び抱き着く。
『ちょっ!!!酷い!!!騙したわね!!!!!離れなさいよー!!!!』
「えー俺騙したなんて言ってないよーん♪先生が勝手に騙されたんじゃんか♪」
『何ですって!!!!!!?』
2人がぎゃーぎゃー騒いでると
「高崎!!!貴様は何をやっている!!!!」
「…あ?」
『…あ、飯野先生…』
2人の前には生徒指導の飯野が仁王立ちで立っていた。
マッチョで朔夜ほどではないが長身の飯野は生徒の上っ面しか見てないいけ好かない教師だ。
「貴様は佐伯先生が困ってるのもわからないのか!!!貴様のようなクズが先生に対してなんだその態度は!!!!」
「あ?てめぇには関係ねぇだろうが。うるせーな。」
今までの態度とはまるっきり違う朔夜。どちらかと言えばこっちの方が素に近い。菜子にはベタベタだが、普段はむしろクールなのだ。
「っち、気分わりぃな。先生また昼休みに来るわ。コイツいるとゆっくり出来ないし。んじゃあ後でね。」
「オイッ!!!!まだ話は終わってないぞ!!!後で指導室までこい!!!!」
「は?やだよ。てめぇに指図される筋合いねぇし。……つーか、てめぇこそ手出したら容赦しねぇからな。」
冷たい視線を飯野に向けるとそのまま朔夜は教室へと歩いていった。