BLEACH
□一織短編集
7ページ/20ページ
つないだ小指
―
「黒崎君!こっちこっち!」
「おぅ」
一護はこの日、織姫に大切な事を伝えなくてはいけなかった。
だからこそ、緊張してしまい、反応が余計に鈍かった。
初めての2人のデートでもあったこの日。
「面白かったね♪黒崎君!」
「お、おぅ!」
見に行った映画はお笑い芸人の傑作を集めた奴。
しかし一護に、そんなのを見ていられる余裕はなかった。
織姫はかなりの笑顔でいた。
一護もつい、笑顔になってしまうその笑顔。
「お昼どーする?」
「ファーストフード行かねー?」
「了解しましたぁ!」
織姫はニッコリと笑った。
そして2人は近くのファーストフード店に歩いていく。
織姫はいつものように幾つかの品を頼んでいた。
「ほら、好きなのとって食べれるようにしよ!」
「おぅ」
「なーんか今日の黒崎君、口数が少ないよ〜?」
織姫の潤んだ目が一護を刺激する。
たまったもんじゃない。
織姫にまで気付かれるような態度を自分はとってしまった。
「はい、黒崎君」
「ぉ…サンキュー」
「どう致しまして♪」
ニッコリと織姫は笑う。
つられて一護も笑顔になる。
サラダをとってもらう、などかなり久しぶりにしてもらった事であった。
―
「旨かったな」
「うん!美味しかったですよ♪」
2人は土手を歩いていた。
土手と言えば色々と思い出がある場所だ。
一護はそこに立ち止まった。
「黒崎君?」
「井上……俺……」
バックには夕日が輝いていた。
一護は織姫の顔を見た。
そんな一護に織姫も一護の方を見た。
「俺は…ずっとお前の事が好きだった。ルキアを助けた時から…」
一護はハッキリと言葉を伝えた。
織姫の目からは涙が零れていた。
思わず織姫は手で目を覆った。
「井上?」
「ごめんね…っ、黒崎君……っ」
「………」
「こんなにこの言葉が嬉しいなんて…思ってなかった……」
織姫の目から零れる涙。
その後の言葉に一護は目を丸くした。
→