BLEACH
□ギン乱短編集
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ただいま
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「……馬鹿、出てくなんて…聞いてない」
涙が、止まらなかった。
信じられない、幼馴染の逃亡。
消えてから気付く、自分はアイツが大好きだった、と言う事。
「馬鹿は馬鹿らしく、誰かに漏らしちゃったりしなさいよ……」
「松本。泣きながら此処にいるんじゃない。自分の部屋に戻れ」
「…すいません、隊長」
「俺は緊急の隊首会があるから行ってくる」
「お気をつけて」
隊長が居なくなると、さらに泣けてきた。
1人になるとどうしても、涙が止まらなかった。
だから適当に誰かを誘い、飲んでそのまま酔い、眠りについて……
そんな毎日を繰り返してた。
「……バッカみたい。何でアイツの事を思い出すたびに涙が出てくんのよ……」
それが悔しくて。
アイツの事を思い出すたびに涙が止まらなくなっていた。
しばらく、1人で飲んでいた。
今日は珍しく、誰もつかまらなかったから。
「はぁ……アイツの事考えんのやめよ。顔はれる」
「お岩さんになってしまうんか?乱菊」
「そう言う事よ……へ?」
突然、聞こえた声に耳を疑う。
そして静かに後ろから抱き締められて感じる、あの温もり。
「……ギン?」
「ただいま」
「ギンなの!?」
振り向くと見える、前と変わらぬ顔。
ギンはニッコリと乱菊に向かって笑みを浮かべた。
驚きすぎて、声が出ない。
しばらく、口をパクパクさせていた。
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