BLEACH
□ジン遊子短編集
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恋
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「こんにちはーっ」
「ちぇっ!ま、ま、またお前か。い、いつものだろ?」
「うん、お願いね、ジン太クン」
「な、な、な、何で、お、お、俺の名前知ってんだ!」
「そこに居た人に教えてもらったんだよー?」
ふと見ると、浦原の姿が見える。
慌ててお菓子を詰めて、遊子に渡す。
そんな単純な作業でも、ジン太にとってはかなり嬉しい事であった。
「……有難う、ジン太クン」
「お、おうよ!」
「でも、いつも多くない?500円じゃない気がするんだけど……」
「サービスだ!サービス!て、て、アンタの名前教えろ!俺の名前知ってんなら!」
「私?私は黒崎遊子。宜しくね、ジン太クン」
ニッコリ笑う、天使のような微笑み。
それをみると顔が赤くなってしまう。
ジン太は慌てて後ろを向いた。
「とっとと帰れ!二度とくんじゃねーぞ!遊子!」
「うん、また来まーす」
「ち、ち、違(ちげ)えよ!」
ガラガラガラ、と言う音がして、彼女は帰っていく。
深呼吸を何度もして、自分を落ち着かせる。
(黒崎遊子か……何処かで聞いた事ある名前だな)
彼女の兄の事を知るまで後少し。
ジン太の恋はまだ始まったばかりであった。
→あとがき