BLEACH
□ジン遊子短編集
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お泊まり会
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「おはよ〜ジン太君!」
「……あぁ、はよ」
「もぅ〜元気ないなぁ」
月1の家のお泊り。
今日は遊子がジン太の家に来ていた。
ジン太はもう大学を卒業する。
「うわぁ、本当に大学卒業かよ」
「出来るかなぁ?ジン太君」
「何だと!?」
「嘘嘘。ジン太君だって卒業出来たじゃない」
「あのなぁ〜」
エヘヘ、と遊子は微笑む。
そんな無邪気な遊子の笑顔を見て、ジン太は無性に自分が腹立たしくなった。
なので壁に何度も頭をぶつける。
「ちょ、ジン太君!」
「何か自分がウゼー」
「そんな事無いって!」
「お前にそう言われるのは変だと思うんだが」
遊子が慌てて止めて、事態は収まった。
無性に自分が嫌になってくる。
彼女と付き合ってることさえ、不思議に思うのだ。
こんな才色兼備の彼女が何故自分なんかと付き合っているのかと。
「何で俺ら、付き合ってんだろうな」
「だからぁ、私がジン太君のことが好きで、ジン太君は私のことが好きだからでしょ?」
「あぁ…そうだったな」
「もぅ」
そんな事まで分からなくなってくる。
遊子はジン太の側に寄った。
「ぁ?ヤる気なのか?」
「ちょっとだけね。ジン太君の子供が欲しいなー、って思っただけ」
「はぁ?」
「だってさ…そうすれば、結婚できるかなぁって」
「なぁに言ってんだよ」
ジン太は遊子をギュッと抱き締めた。
珍しいジン太の行動に遊子は不思議そうな顔を見せていた。
「俺が大学卒業したら結婚すんだよ」
「え?大学卒業したら?」
「後半月待てよ」
「いいの?」
「当たり前だろ?」
遊子の顔が一気に輝いた。
そしてギュッとジン太を抱き締める。
「大好きっ♪ジン太君!」
「うぉっ、急に抱き締めんなっ!」
「だって、だって凄い嬉しいんだもん!」
「俺だって嬉しいんだよ」
今日のお泊りはいつもより、何倍も、何十倍も、楽しいお泊りとなった。
この後2人は最大の壁、遊子の父親に向かう事となる。
→あとがき