D.Gray-man

□アレリナ短編集
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「はぁ……、後1分か……」


先程から何度も携帯を開いていた。
携帯で時間を確認していた。
リナリーとの待ち合わせの時間は7時半。

髪の毛もちゃんと整えた。
制服もキチンとアイロンをかけ、綺麗に来た。


ピーンポーン


「ぁ!はーい!」


鞄を慌てて掴む。
そして玄関に向かって駆けて行った。
ドアを開くとそこに彼女がいた。
ニッコリとアレンに微笑みかけた。


「おはよ、アレン君」
「お、おはようございます、リナリー」
「ゴメン…ちょっと早かったかな?」
「ううん…っ、大丈夫」
「それなら良いんだけど」


リナリーはホッと溜息を吐く。
早くから来てくれるとかなり嬉しい。
話す時間が増えるから。





君と言う名の天使





「ぇ?あの居酒屋に働いてるの?」
「うん。新聞配達と兼任でやってるんですよ」
「凄いね。私には無理だよぉ」
「……まぁこっちには生活かかってますからね」
「そっか。生活がかかってるとかかってないとでは大きく違うよね」
「そうですかね」


アレンは朝夜バイト生活を続けていた。
新聞配達と居酒屋のバイトを。
生活費を稼ぐために必死なのだ。
自分の収入のみが生きていく頼りなのだ。


「もしピンチになったらウチに来ていいからね!?」
「リナリー?」
「ほら…アレン君、栄養失調とかで死んじゃったら嫌だし……」
「有難く受け取っておきますね」


アレンはニッコリと微笑んだ。
リナリーも笑い返す。

心配になってしまうのだ。
アレンがお金がなくて食べ物が買えず、栄養失調で倒れてしまわないか。
だから家に来ていい、と告げたのだ。


(リナリーの家に行けるなんて幸せだなぁ……)


ふとアレンは思う。
話すようになってから1ヶ月。
リナリーの家に行けるなんて幸せなのだ。
しかもリナリーの話なら食事を奢ってくれそうな雰囲気であった。
それが嬉しくてしょうがない。
思わずガッツポーズをしていた。
拳をグッと引く。


「……アレン君?」
「ゴメン!つい…嬉しくて……」
「私の家行きたいの?」
「ぁ…はい……」


アレンは髪を思わず掻いた。
照れくさかった。
リナリーにバレてしまった事が。


「今晩、ウチに来なよ?晩御飯ご馳走するよ?」
「ぇ!?わ、悪いですよ!」
「大丈夫。兄さん帰るの遅いから殆ど私1人で食べてるの」
「で、でも…っ!」
「兄さんも喜んでくれると思うわ。私と一緒に食べてくれる人がいると」


いつの間にかリナリーはアレンの手を握っていた。
アレンを誘うのに熱が入りすぎていたのだ。
アレンの顔は赤く染まっていた。つい、リナリーの顔も赤く染まる。
しかしリナリーの目は輝いていた。


「お願い、アレン君。一緒に食べて」
「僕、バイト帰りだと9時半近くになっちゃうんだけど……いいの?」
「うん、待ってるから!いっぱい作ってあげるね」
「じゃあリナリーの言葉に甘えさせてもらおうかな」
「有難う!アレン君♪」
「お礼を言わなくちゃいけないのは僕の方ですよ」


嬉しそうにニコニコとリナリーは微笑む。アレンはその笑顔に負けた。
夕食をご馳走してもらう事になった。
心臓が跳ねるように動き出した。
リナリーの手料理が食べられるのだ。
嬉しくてしょうがない。
色々な料理の想像が出来る。


「ぁ…もう着いちゃうね」
「早いですね。もう着くなんて……ヤだな」
「でもアレン君…登校時間まで40分くらいあるよ?」
「じゃ、じゃあ話してていいんですかっ!?」
「うん、そういいよ」


思わずアレンは笑ってしまった。
確かに登校時間よりは40分も早い。
遅刻したら大変だから、とかなり早くに来たのだ。
2人揃って屋上に上がっていった。


「アレン君……昼、購買で済ましてるんでしょ?」
「ぁ、はい…そうですけど……」

(昼、野菜ジュースしか飲んでないんだけど…)


節約の為、昼は食べていなかった。手作りの野菜ジュースで済ましていた。
これでかなり昼代が浮いていた。

リナリーはガサガサと鞄の中を漁りだした。
アレンは不思議そうな顔をしていた。
リナリーは緑色の布で包まれたモノであった。それをアレンの手に乗せた。


「ぇ!?リナリー?」
「お弁当。食べてね、アレン君」
「僕がリナリーのお弁当を食べてもいいんですか!?」
「勿論。毎日作ってあげるからね」
「有難うございます!」


悶絶しそうな所を何とか我慢していた。
お弁当箱をアレンは大丈夫そうにしっかりと持った。そして鞄にしまう。
アレンは嬉しそうにニコニコとしていた。


「そんなに嬉しい?アレン君」
「嬉しいに決まってるじゃないですか!大好きな人からお弁当を作って貰えるんですよ?」
「……ぇ?」


固まるリナリー。
慌てて自分の言った言葉を振り返った。
そしてリナリー同様、アレンも固まりついてしまった。
サラッと告白してしまっていた。有り得ない。
こんな事を言うとは思っていなかった。言ってしまった自分に驚いてしまう。


「……うわっ、わっ、忘れて下さい!」
「アレン君がそう言ってくれた時、嬉しかったな」
「本当ですか!?」
「うん、大好きだよ、アレン君」
「僕も…リナリーの事が大好きです」


アレンはリナリーの事を抱き締めた。
振り返れば言ってしまって良かったのかもしれない。
リナリーの気持ちを知る事が出来た。
リナリーもしっかりとアレンの背中に腕を回していた。


「早く入れ」
「ちょっと待つさ!先客がいるみたいさ」
「私まで此処にいていいのかしら?」
「ぁ、リナリーッ!」


抱き締め終わって2人は何となく離れていた。
しっかりと手は繋がれていた。

そんな時に屋上に上がってきた人がいた。
リナリーの事を知っていて、リナリーもその人の事を知ってるらしい。
2人は手を握り合い、抱き合っていた。
アレンは思わず黙り込んでいた。


「誰だ?そいつ」
「アレン君、私の彼氏よ?」
「リナリー、ついに彼氏出来たの!?」
「やっとかよ」


アレンはただ、固まっていた。
するとリナリーが近付いてきて、アレンの手を掴んだ。
そしてアレンを5人の所に連れて行った。
確実に自分と同い年ではなかった。


「えっと…初めまして、アレンって言います」
「そーんな固くなんなくていいさ。オレはラビ、高3な」
「ぁ…宜しくお願いします」
「神田ユウ。こっちは香坂ユキでどっちも高3」
「皆さん高3なんですね。…ってミランダ先生っ!?」
「うん、ミランダ」


神田の隣にはユキがいた。
ニッコリとアレンとリナリーに笑いかけた。
このメンバーにミランダがいる事にアレンは驚いた。
彼女は英語教師のはずなのだ。
しかしラビ達と一緒にいるのだ。


「オレの彼女なんさ。高3になる直前に付き合うようになったんさ」
「ミランダがこの学校に来る前に付き合いだしてやがったんだよ、コイツら」
「私達と待ち合わせしてたのにラビ、ミランダと仲良くしてんだもん」


嬉しそうにミランダは微笑んだ。
ラビも嬉しそうにミランダの肩を抱いた。
最初は吃驚する。
しかしそれもしばらくすればすぐに平気になる。
お似合いのカップルである。


「ミランダ先生……ラビさんと付き合ってるんだとは知らなかったなぁ」
「私の事は呼び捨てでいいわよ?アレン君」
「オレの事も呼び捨てでいいさ」
「ぁ、はい」
「俺の事は苗字呼びにしろよ」
「私以外からユウって呼ばれるとキレるから、ユウ」


とりあえず、仲良くなる事が出来たようだ。
6人はずっと話していた。
色々と楽しい話を。


「アレン、毎日此処に来いよ?」
「ぁ、僕ですか?」
「6人で話すっつう事だよ」
「はい、分かりました!」
「私と一緒に行こうね?アレン君」
「ぁ、はい!」


アレンはニッコリと微笑んだ。
そして教室に向かって走っていく。
その後に皆も続いていった。



―――――――――――――――

何か書きたくなった学パロで告バナ書いてました。
最初はお弁当を渡して、夜になって、リナリーの家でアレンが夕食を食べるだけの予定でした。
気付いたら皆が参加していて、それぞれのカプが出てきてました。
何だか凄いぐっちゃぐちゃの話。
アレンはサラッと告白してしまうのが似合ってますね。



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2007年12月14日




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