D.Gray-man

□アレリナ短編集
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「アレン君、って本当に美味しそうに食事するよね?」
「…そうですか?」
「うん、すっごく美味しそうだもん。見てるこっちも食べたくなっちゃう」
「食べたらいいじゃないですか、リナリーも」
「うん、そうしてこよ」


先程から、私はずっとアレン君を見ていた。
気付けばいっつもアレン君を見ていた。

最初は普通にアレン君は教団の同じエクソシストと言う仲間、という事しか思ってなかった。

だけど最近は違う。アレン君に興味がある。
アレン君がしてる、全ての事が気になった。
ご飯食べてても、筋トレしてても、アクマと戦ってても。
気付けばアレン君を見てた。
アレン君を見ていると、凄くドキドキした。
それをミランダに聞いてみたら、アレン君の事が好きなんじゃないの?と返ってきた。

私、恋した事が無かったの。
だからどう言うのが恋かなんて分からなかった。
ドキドキする事が恋なんだ、って知った。それからは私はアレン君に片思いしてた。

アレン君が美味しそうに食べているとこっちまでお腹が空いてくる。
一緒にご飯を食べたくなってしまう。
アレン君の笑顔を見ると、こっちまで笑顔になってしまう。
アレン君には本当に不思議なパワーがあるんだと思った。


「アレン君、何食べた?」
「えっと……僕はグラタンにシチューにカレーにハンバーグセット2つに……後はみたらし団子ですかね」
「じゃあ…ビーフシチューにしようかな」


アレン君は20品ぐらい料理名をスラスラを言った。
それだけ覚えてるのも凄いと思う。本当は全部一緒のが食べたい。
だけど私のお腹には入らないから、1つだけ一緒のを頼む事にした。

ジェリーさんがすぐに作ってくれて、頂きます、とご飯を食べ始めた。
ホッカホカのビーフシチュー、暖かくて優しい味がして、美味しかった。
アレン君と一緒に食べてるから、もっと美味しく感じた。





翡翠色の刀





「アレン、リナリー!任務入ったぞ」
「「あ、はい!」」


声が揃ってしまった。思わず2人で苦笑い。
慌ててご飯を食べる。
そしてジェリーさんにお礼を言って、司令室へと向かう。
兄さんは紙を持って待っていた。
私とアレン君が一緒の任務。…ちょっぴり嬉しかった。


「……イノセンス回収?」
「多分、イノセンスあると思うから……お願いね?」
「分かったわ、兄さん」
「気をつけて行ってきてね、2人とも」
「「はい」」


イノセンスの奇怪現象が発生してる場所だと兄さんは言った。
探索部隊の人は入れない。
だから本当に私とアレン君とで解決しなくてはいけなくなった。
緊張する。
イノセンスが関わるとどうしても緊張してしまう。


「リナリー?」
「ぁ、なぁに?アレン君」
「緊張してませんか?」
「…ちょっとだけ」


おまじないしてあげますよ、とアレン君はニッコリと笑った。
不思議だった。
するとアレン君は私の体を抱きしめてきた。
思わず飛び上がってしまう。心臓が飛び出そうになって、ドキドキが止まらない。


「あ、あ、アレン君っ!?」
「緊張しなくなったでしょう?リナリー」


アレン君はハハ、と笑っていた。
思わず私も笑う。
確かに緊張しなくなった。逆にドキドキし始めちゃったけど。
一緒に船と電車を乗り継いで、町へと向かった。

町の入り口には竜巻のようなモノがグルグルと回っていた。
人も何も巻き込みはしない。
私達が町に入る前に入っていった人がいた。
だけど竜巻の中に入った途端、町から出てきていた。
その人には竜巻が見えてないみたい。
まるでミランダの時みたいだなぁ、と思わず呟いてしまった。


「そうだったら、この町にイノセンスの適合者がいるかも知れませんね」


アレン君の言う通りなのかも知れない。
一緒に町へと入っていった。
私達には竜巻が見える。
竜巻に手を伸ばす。
その瞬間、グイッと何かに引っ張られるような感覚になった。


「きゃっ」
「リナリーッ!」


アレン君も引っ張られていた。
アレン君は私の手を掴んでくれた。
温かいアレン君の熱が私に伝わる。
そのまま、竜巻の中に一緒に入ってしまった。


「…あ、アレ?」
「町の中……みたいですね」


気付いたら町の中に入ってた。
さっき入り口で見たままの中。
特に変わった様子はない。
普通に町の人達が楽しそうに生活していた。
どうやら町の中に入れたみたい。


「イノセンス、探しましょうか」
「うん……」


一緒になってイノセンスを探す。
アレン君1人で見つけたら前みたいになっちゃうから、って2人で一緒に行動した。
町に特に怪しい様子はない。


「普通に外に出れるんですか?」
「あぁ、普通に買い物してるぜ?」
「他の人は町に入れないですよね?」
「そうらしいな。俺の友達も入れねえらしいよ」


町の人は普通に外に出れる。
何故か外から町の人じゃない人が入ると入れなくなっている。
不思議な町。
そのうち、1つの家を見つけた。ちょっと古い家。
だけど何かを感じる。
一緒にアレン君とノックした。


「ぁ?誰?」


出てきたのは、私より、アレン君よりも背の高い男の子。
不思議そうに私達の事を見ていた。
手には刀を持っていた。


「神田の刀みたいですね…」
「なーに言ってんだ?」
「その刀、どうしたの?」
「俺の風刀ふうとうに何か用?」


やっぱりアレン君も同じ事を思ってた。それが何か怪しい。
男の子は中に入れてくれた。
1人暮らしをしているらしい。


「父親が死んだ事になった」
「“なった”ってどう言う事ですか?」
「師匠がそう言えっつったんだよ。俺はとっくのとうに死んだ親を今死んだ風にしろとか言われて困ったけどよ」
「じゃあ……千年伯爵とか言う人に会いませんでしたか?」
「変な帽子被ったオッサンの事か?」
「そうそう、それです!」


両親が亡くなってる、って言うのは私と一緒。
何だか気持ちが理解出来るような気がした。

アレン君は千年伯爵の事を聞いていた。やっぱり伯爵を知っているみたいだった。
人をアクマにする悪の組織の一番上の人。一度は死んだ。
しかし同じような格好をした、同じ目的の奴が同じ名前を名乗って活動しだしていた。
私達はその人も追っている。

この人には師匠と言う人がいるらしい。
何かアレン君と似てるなぁ……。


「何か親父やお袋を生き返してくれるとか言ってたなぁ」
「えっ!?それで君はどうかしたんですか!?」
「そんなはずねーだろ、って言っといた。そしたら風刀見て逃げるように帰っちまったよ」
(やっぱりこれ、イノセンスだ……)


イノセンスだと確信した。
この人がイノセンスを所持している。
所持している物としたらやっぱりその、刀だった。
翡翠色をした刀。


「その刀、どうしたんですか?」
「この町に住んでる奴以外は来るなーっ!って願ったわけだ」
「ほうほう」
「そしたらあんな竜巻みたいなのが出来て、俺の腕からコイツが抜けたっつう訳」
「腕からなの!?」
「あぁ、左腕からポロって取れたんだ」


左腕から取れた、と言う事は寄生型と言って間違いない。
竜巻を発生させる事が出来、刀としても使える。結構凄い武器なのかも知れない。
思わずアレン君と顔を見合わせた。


「よく聞いてくださいね?」
「…あぁ」
「貴方のそれはイノセンス、と言う対アクマ武器なんです」
「あぁ…それ知ってるわ」
「…え?」
「悪い。俺の師匠、エクソシストなんだよ。師匠には人には教えんなとか言ってたけどさ」


吃驚した。
師匠と言う人はエクソシストらしい。って事はさっきまでの言葉は嘘が入ってたのかな?

と言うかアレン君、何処か顔が青ざめているような気がするんだけど。
ぁ、師匠ってあの人の事か。

アレン君と男の子はがっちり握手をしあってた。
2人で手を思い切り握り合い。どちらかが痛いと叫ぶまでやっているみたい。
どっちともニコニコ笑ってるけど考えてる事は黒いなぁ……。
多分どちらも同じ思いをしてるんだと思う。


「宜しくな。えっと……俺は五十嵐瑛人」
「僕はアレン・ウォーカーって言います」
「私はリナリー・リーよ」
「宜しくな、アレン、リナリー」
「宜しくお願いします」


私とエイトもちゃんと握手した。
エイトはベルギー人と日本人のハーフって言ってた。
エイトはアレン君に教わり、竜巻をなくしていた。
私もだけど、寄生型同士、分かる部分があるみたい。


「さて、行きましょうか」
「あぁ」
「えぇ、行きましょう」
「きっとコムイさんが待ってますよ」


一緒の道を歩き出す。
向かうは黒の教団、私達のホーム。
皆が待ってる、その場所に。



―――――――――――――――

何か最初はアレリナだったけど段々とエイトが加わって変わった変な話。
自分でもよく分かりません。
イノセンスの怪奇現象が起こってました。
それと今まで明らかにしてなかったノアの事も少し入れてみました。
第2の千年伯爵の登場です。
最初はリナリー祭りに出品予定でした。
ですが何故かエイトが加わり、変になったので急遽変更。
普通の短編になりました。
これを少し改造して、レナに入れたいと思います。



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2007年12月25日




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