D.Gray-man

□アレリナ短編集
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「よし、出来たぁ…っ!」
「リナリーちゃん、上手く出来たの?」
「うん。本当に有難う、ミランダ」
「私にはこれぐらいしか出来る事がないから……」
「そんな事ないわよ。ミランダにだって出来る事はいっぱいあるわ」


新しいレシピで作ったチョコレートケーキ。
私の頭の中にはない、チョコレートケーキだった。
ミランダはこう言う所にはセンスがある。
ケーキ屋さんになれば良かったのに、そう言った事があった。
でもミランダは笑いながらケーキ屋さんで働くと失敗ばかりしちゃってね、と笑って言った。
ミランダの才能はこう言った所で役立ち、ケーキ屋では失敗しちゃうんだと知った。


「あらん!出来上がったの!?」
「有難う、ジェリー。厨房貸してくれて」
「いいわよ〜可愛い女の子達の頼みなら」


食堂の厨房を借りて作ってた。
皆には見つからないようにこっそりと。
皆には食べてもらいたくなかったから…私の愛を込めたケーキを。
急いで箱に詰め、部屋を駆けていった。





チョコレートケーキ





部屋の前に来るまでに30秒。
食堂から一番近い部屋。
そこがアレン君の部屋であった。
本当の部屋はコムリンに壊されて全壊だ、って聞いた。
でもアレン君は食堂の近いこの部屋を気に入ってるって言ってた。


(いるかな?アレン君……)


ノックをする瞬間が緊張する。
箱を後ろに隠すように持って、片手をドアの前に出す。
そして誰もいないかチェック。
いたら今の計画は中止。


コンコンッ

「はーい?」
「アレン君、私」
「リナリー!?ちょっと待って下さい、今開けますから」


すぐに扉が開いた。
良かった、アレン君いたんだ。
アレン君は着替え中だったのか筋トレ中だったのか上半身裸だった。
何処を見ればいいのか分からなくて、目があちこちに動く。


「ぁ!ごめんなさい!」
「別に大丈夫だから、安心して」


いち早くアレン君は気付いてくれた。
慌ててTシャツを着ていた。
何か申し訳ない気持ち。
ソファーに座らせてもらった。


「アレン君…これあげる!」
「えっ!?僕にくれるんですか?」
「う、うん!さっき作って来たんだ!」


早速ケーキを手渡した。
箱を見て、アレン君もすぐに何か分かったみたいだった。
箱を丁寧に外し、中のチョコレートケーキを見ていた。


「大丈夫!お酒は入れてないから」
「わざわざ僕の為に作ってくれたの?リナリー」
「うん……アレン君が美味しそうにケーキ食べてたから……」
「有難う、アレン君」


アレン君はニッコリ笑ってくれた。
アレン君は前に師匠のケーキを食べた時のトラウマでお酒入りのケーキがダメって聞いた。
それをミランダに言ったら使わなくても出来るのがあるよ、って教えてくれた。
今回のは本当に上手く出来た。


「じゃあ…誕生日として貰っておきますね」
「えっ!?アレン君、誕生日だったの!?」
「まぁ誕生日って言ってもマナが僕を拾ってくれた日なんだけどね」
「言ってくれればもっと作ったのに……」
「いえ、リナリーの愛の入ったケーキで十分だよ」


ストレートすぎるアレン君の言葉に顔が赤くなった。
愛、なんて一言も言ってないのにアレン君には全てお見通しだった。
非常に自分自身が恥ずかしい。


「リナリー、チョコレートケーキ好きなんだよね?」
「ぁ…うん、好きだよ?」
「じゃあ半分コしましょうよ」
「でもアレン君食べたいんじゃ……」
「1人で食べるより、リナリーと食べた方が何倍も楽しいし、嬉しいから」
「有難う、アレン君」


私が半分に切った。
半分、って言ってもやっぱり私の方が少なめにした。
アレン君はいっぱい食べるし、何よりアレン君のために作ったケーキなんだから。
一緒にケーキを食べ始めた。


「うん、美味しいですね、リナリーの作ったケーキ」
「そういってくれると嬉しいな。ミランダに教わって作ったの」
「へぇ…ミランダ、こう言う事出来るんですね」
「うん、作れるよ?って言って教えてくれたんだ」
「そりゃリナリーの料理のレパートリーが増えて僕にとっては万々歳ですね」


ミランダは私のとって料理の先生かもしれない。
本当に感謝してる。
ミランダのおかげで、これからも色んな手作りの料理をアレン君に食べさせてあげられるだろう。


「有難うございます、リナリー。本当に美味しかったです」
「どう致しまして、アレン君」


五分もすればどちらのケーキも無くなっていた。
アレン君は大食いでもあるけど、早食いだし、私はケーキだけは食べるのが早い。
だからすぐに無くなってしまった。
何か物足りない気分。


「あれ?リナリー、まだケーキ食べたいんですか?」
「えっ!?」
「顔に食べたい、って書いてありますよ?明日買いに行きましょうか?」
「ううん、それなら私がチョコレートケーキ作る!」
「本当に好きなんですね、リナリー」
「ぇっ、アハハ……ッ」


チョコレートケーキばっかりだと、アレン君に嫌われちゃうかな。
ケーキは全部好き。
中でもチョコレートケーキが好き、って言う事。
また今夜もケーキを作る事になって、嬉しい。


「アレン君、私何かプレゼントしたいんだけど何が欲しい?」
「リナリーが欲しいです」
「ぇっ!?私?」
「えぇ。それと一緒にケーキも作りたいです」
「うん、いいよ」
「有難うございます、リナリー」


そっと小指と小指を絡ませて約束する。
今夜は一緒にケーキを作る、と。
そしてその時まで、一緒にいると言う事を。



―――――――――――――――



アレン、誕生日おめでとう!



…アレンの場合は誕生日ではないか。
アレリナお題のチョコレートケーキ。
リナリーの好物がチョコレートケーキですもんね。
案外すんなりと浮かびました。
本当はもっと短くなる予定でした。
でも何故か思っていたより長くなりました。
ま、それでいいですけどね。
もう付き合ってます、2人は。



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2007年12月25日




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