D.Gray-man

□アレリナ短編集
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『口直し』





「苦っっっ!」


悲痛な叫び声が食堂に響き渡る。
叫んでいるのはリナリー。
そしてその目の前にいるのはアレン。
リナリーはペッ、ペッ、と何度も唾を吐くようにしていた。


「………アレン、何やってんだ?」
「僕じゃありませんよ!何勘違いしちゃってんですか!」
「リナリーが突然しゃがみこんで何かやってりゃ勘違いするよ、そりゃ」
「ゲホ、ゲホッ」
「リナリー、大丈夫ですか?」


食堂に居た人が感じたであろう、その行為。
実際はそのような事は一切やっていない。
しかしリナリーはしゃがみこんで何かをし、その瞬間に咳き込みだした。
アレンが慌てて背中を叩く。
すると出てくる、緑色の物。


「……なんだ、それ」
「えっと日本で言う、ゴーヤーって奴です。ゴーヤーチャンプルを僕が食べてて、リナリーが食べたい、って言うから…」
「で、食べさせたらこうなった、っつう事か」
「食べてみますか?皆さんも」


この前、アレンは神田から日本にはゴーヤーと言う苦い食べ物がある、と聞いたのであった。
それに興味を持ったアレンはジェリーに作ってもらったのだ。
アレンが食べているとリナリーも興味を示した。
アレンからアーン、としてもらう訳にもいかなかったリナリーはコソコソとしゃがんで食べた。
その結果がこれだ。


「アレン君っ!こんなの食べちゃ駄目!口の中が苦くなるよっ!?」
「別に大丈夫ですよ。僕には苦さはあまり感じませんから」
「もぅ」


リナリーはジェリーからとりあえず、水を貰っていた。
そして水を一気飲みするが口の苦さはとらないらしく、影で舌を出していた。
アレンが心配そうにリナリーを覗きこんだ。


「大丈夫ですか?リナリー」
「だ、大丈夫……じゃないよ」
「しょうがないですね」


瞬間の出来事だった。
アレンは素早く口にジェリーに作ってもらったチョコを含むとリナリーに口付けをした。
そしてチョコをリナリーの口の中に流し込む。
この時間、わずか4秒の出来事。


「もう平気ですよね?リナリー」
「ぅ、うん」
「あ、アレン……お前……」
「……分かってますよね?これを言ったらどうなるか」


リナリーは顔を真っ赤にしてアレンに背を向けるようにして壁にもたれかかった。
その瞬間の出来事を目撃していた何人か。
その何人かに向かってアレンはニッコリと微笑む。
………黒さのかかった笑みで。
この事をコムイに言ったら確実に殺される、そんな感じの事だ。


「あれー?どうしたのー?皆」


バッドタイミングに現れるコムイ。
そして壁に寄りかかるリナリーをすぐに発見した。
アレンを飛ばし、リナリーに近寄る。


「どうしたんだい!?リナリー!具合でも悪いのかい!?」
「違うから、兄さん、安心して」
「じゃあどうしたんだよ、リナリー」
「リナリーがゴーヤー食べちゃって……」
「無理やり?アレン君」


アレンが説明に入ろうとするとコムイの目が変わった。
明らかにアレンを怪しんでいる。
リナリーは首を横に振った。


「違うの、兄さん。私がアレン君が食べてるのを見て、食べたいから貰ったらこうなったのよ」
「大丈夫かい!?リナリー?口の中とか苦くないのかい!?」
「大丈夫よ。チョコ貰って食べたから」


“誰”にチョコレートを貰ったかは決して言わなかったリナリー。
そのリナリーに向かって微笑みかけるアレンと心配そうにするコムイ。
リナリーのチョコをどうやって貰ったかを知っているメンバーは黙っていた。
言ったらコムイにも殺されるだろう、と直感したからであった。



―――――――――――――――

調子に乗ってアレリナを書いちゃいました。
やっぱり好きです、アレリナ。
ゴーヤーは私は一切食べれません。
3,4年くらい前に流行ったときにお母さんが買ってきて、炒めて食べましたが私は死にました。
買ってきた本人のお母さんも駄目みたいでした。
なのでリナリーも駄目でいっか、そんな感じです。

アレン様はああいう事を簡単にやってのけるタイプだと思います。
敬語つながりで骸と一緒で。
チョコはリナリーと食べれたんで満足してます。
ぁ、勿論、お酒は入ってないですけどね。
この夜、アレンはこっそりリナリーの部屋に忍び込みます。
(リナリーは勿論、知っている)



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2007年8月4日




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