D.Gray-man

□アレリナ短編集
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「神田、ラビ」
「どうしたんさ?アレン」
「ちょっと僕、出かけてきますね」
「…偶には気分転換しろ。部屋に居ると根が生える」
「そんな訳ありません」
「気をつけるさ、アレン」
「はい」


約束の日、夜にアレンはホテルを出た。
予定の時間よりも何時間も早くに。
そうしないと変に疑いをかけられてしまう、あの時間だと。


(……早く来すぎですかね)


早くから、リナリーが消えた場所に来ていた。
光の玉をしっかりと握っていた。
光り輝いているその玉。
するとアレンの肩を叩く人がいた。


「…リナリー?」
「アレン君」


確かにある、リナリーの温もり。
アレンはしっかりとリナリーを抱き締めた。
リナリーもしっかりとアレンの背中に腕を回した。


「……どうしたんですか?」
「…何が?アレン君」
「いつものリナリーと雰囲気が違います」


そして気付く、リナリーの雰囲気の違い。
いつもと違い、殺気が出ているような気がした。
するとリナリーがアレンの耳元で囁いた。


“ノアになっちゃった”


確かに、そう囁いた。
アレンは吃驚して、リナリーの方を見た。
リナリーはニコッと笑ってみせる。


「…リナリー?」
「アレン君も、ノアにならない?」
「リナリー、どうしたんですか?」
「私にはノアの司る愛しさと言う能力があったの」
「愛しさ……?」
「アレン君には勇気って言う司る能力があるの」
「僕に……勇気?」


アレンの耳元で囁くリナリー。
リナリーの服装は確かに、ゴスロリファッションだった。
髪の毛も巻いてしまっている。


「一度ノアになってしまえば教団には戻れない」
「リナリー、貴女、家族はどうしたんですか?教団の仲間は?」
「……全員捨てたわ。脅されちゃった、私がノアにならないと教団を破壊する、ってね」
「リナリー……」
「だから、私もアレン君を脅すよ。アレン君がノアにならないと、私が教団を破壊しに行く」


リナリーは脅されてノアになっていた。
しかし、ノアになってしまえば脅されたなど、全然気にしなくなっていた。
自分もノアの一員になったのだ、という感情が出てきたのだ。
アレンは強く、リナリーを抱き締めた。


「リナリー」
「なぁに?アレン君」
「僕はそんな脅しに乗るつもりはありません」
「じゃあ、壊しに行ってもいいのね?」
「僕はリナリーが一言、ノアになって、って言えばなります」


アレンは静かに、呟くようにリナリーの耳元で囁いた。
そしてリナリーに軽く口付けた。
再び、リナリーがハッキリとした口調で言った。


「アレン君」
「はい」
「ノアになって、私と一緒に居てください」
「喜んで」


ニッコリと微笑むアレン。
リナリーの顔もパァッと晴れた。
そしてギュッと抱きついた。
アレンも抱きしめ返す。


「良かったぁ、アレン君が断ったら殺せ、って言われてたの」
「僕はリナリーの居ない所で生きたくありませんから」
「私だって、一緒だよっ!」
「大好きです、リナリー」
「私も大好きだよ、アレン君」


歪んだ方向へと歩みだしてしまった2人。
そして2人は、リナリーの吸い込まれた箇所から入っていった。
アレンの手にはしっかりとリナリーの手と光の玉を握っていた。


「その光の奴、持っててくれたんだ」
「えぇ、リナリーだと思ってずっとみてました」
「本当にアレン君って私のこと大好きだね」
「リナリーも同じでしょう?」
「…まぁね」


ニッコリと微笑む2人。
2人は今、エクソシストの敵となった。


―――――――――――――――

何か長くなってしまいました。
玉置成実の「Brightdown」よりノアレリナです。
2人のノア覚醒時の話です。

リナリーが最初、アクマに連れて行かれてしまいます。
勿論、ロードの指示で。
それでリナリーを脅して、リナリーがアレンを脅して、アレンもノアになってしまう、っていった感じです。

アレンはリナリーの言う事なら何でも聞きそうだなーと言う所からこの話が出来ました。
でも、アレン君はノアにはならないと思いますが。(書いててなんだよ、アンタ)
私がこの話を書いてる途中はずっと上の曲が流れていました。
3日間かかりました、仕上げるのに(まぁ色々ありましたけど)



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2007年8月16日



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