BRAVE10
□出逢わなければ…
1ページ/8ページ
「はっ、はぁ、はぁ…」
木々の間を走り抜ける。
乱れた呼吸を整える為、枝に寄り掛かる。
「はは…ッ。 我ながら派手にやられたわねぇ…」
自分で自分に笑える。
――ガサササ
「貴様、何してる」
「!!?」
気配を断ってきた? 忍の私がわからないなんて…ッ。
「…何してる、聞いてる。 貴様、名乗れ」
「あら…、相手の名前を聞くには、まず…貴方から名乗りなさい」
乱れた呼吸を悟られないよう平然を保つ。
「…貴様に名乗る、否。ここどこの地と知る!?」
「…上田、でしょうね? 分かるわよ…それぐらい…」
お互い引かずに言い合う。
「…は、分かったわよ。 名乗るわ。 私は八与海野よ。 貴方は上田の真田忍隊頭、猿飛佐助、よね」
知っていたのにわざわざ名乗らせようなんて、私も悪趣味よね。
目を見開いた猿飛。
「貴様、何故知ってる!?」
「あら…、貴方、ゆう…めい…よ……?」
そう言うと意識を手放した。