BRAVE10

□出逢わなければ…
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「……ッ」

目を開いたら、知らない所に寝ていた私。
ここはどこ!? なんで私生きてんのよ!?

「目、覚ましたか?」
「…猿飛ッ!」

勢い良く起き上がったが痛みのあまりまた倒れ込む。

「何故!? 何故私を助けた!?」

目の色を変えて猿飛を睨む。

「お前、悪い奴違う。 だから、助けた」
「何故、そう思える?」

なんの迷いもなく淡々と答える猿飛。
その猿飛の目を捉える。

「根拠、ない」
「は、根拠なしに私を助けたの? バカな子ね」

クスクスと笑う。
私の言葉になにも答えない猿飛。
ただただ、私の目を捉える。
その瞳に吸い込まれそうになる。

――ガタン

「失礼します。 海野様。 幸村様がお呼びです」
「海野さん、ね? わかったわ」

呼びに来た海野さんを見て立ち上がった。

「!?」

が、それを猿飛により遮られる。

「六郎、否! 海野まだ傷痛む!!」

私の前に出て海野さんに物申す。
表情を変えない海野さん。

「大丈夫よ、猿飛。 海野さん、案内して」

起き上がり猿飛の肩を後ろに引き、前に出る。

「海野!」

私を見て声を張り上げる。
何故私を名前で呼ぶの?そんなことしないでよ…。

「何故私を名前で呼ぶ? いつからそんな親しくなったのかしら? さぁ、行きましょう、海野さん」
「!?」
「はい、こちらです」

冷たい言葉を吐き捨てる。
そうでないと、私を保てない。
期待させるようなことしないでよ…!
部屋を出る寸前、猿飛をチラリと見る。
かなりの落ち込みよう。 何故そんなに? たかが昨日会って助けてもらっただけよ。

視線を逸らし、海野さんの背中に向ける。
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