Dream

□「可愛くなんかありません」
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「···」


少し癖のある金髪、今は閉じている緑の綺麗な瞳。
目線を少し上に上げると、眠っている彼の顔が見えた。

端正な顔立ち、骨ばった細い指、そのどれもが、私とは不釣り合いだ。

とてもじゃないが、私は彼と釣り合うような美女じゃない。



(···なのに)

何でエーカー大尉は私に優しくしてくれるのだろう。



ふとそう考える。だがその疑問について考えるのは何回目だろう。


さっきだって私は、彼に冷たい事を言った。
なのに、何故だろう。




「···何か考え事か?葵」

「ッ!?」
先程まで寝ていたはずの彼が耳元で囁いた。

「お、起きてたんですか···?」
「···さあ、どうだろうな」
ニヤリと笑いながらそう楽しげに言う彼を、真っ赤な顔で睨んだ。


「···起きてたなら、言ってください」
危うく何か独り言でも呟くところだった···
安堵の溜め息をつくと、唇が重なった。

「や、エーカーたい、い···」
舌を口の中に入れられ、口内を犯される。

何度キスをしても、この甘く痺れる感覚は慣れない。


「···私は釣り合っていようがいまいが、君の事が好きだ」
キスの合間、彼が私に言い聞かせるように言った。
「だから、余計な事は考えなくていい」

少し悪戯っぽく、彼が笑った。





ああ、本当に。
私はこの人の事が好きなんだ。
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