Dream
□俺は君に、
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怯えて俯く彼女を抱きしめた
顔を覗いてみると、涙でぐちゃぐちゃで。
可愛い顔が台無しだ、なんて事をこんな状況でも考えられるのはやはり性格が悪いからだろう、
などと少し自虐めいた事を考えた。
ああ、ごめんね
俺のせいなんだよね、君が泣いてるの。
微妙な関係が終わって、恋人同士になったから。
どこまで許されるのだろう。
抱きしめて、その次の段階を試みてみた。
それだけの事なのだけど、それは彼女にとってはすごく難しい事で。
−少し、軽く見ていた。
とんでもない失敗をやらかした自分に心の中で舌打ちする。
人間不信なんて、そう簡単に治るもんじゃない。
トラウマを植え付けられている彼女の場合、尚更。
「いざ、やさん」
ごめんなさい、と小さく聞こえた。
ああ、何で君が謝るの?
君は何もしてないでしょ。
「私、のせいで臨也さ、ずっと我慢、して・・・」
「そりゃ俺だって男だからキスしたいよ?むしろその次のコトだってしたいし」
最後の冗談に彼女が顔を真っ赤にした。
でもさ。
それで君が泣いちゃったら、意味ないんだよ。
俺は君が隣に居てくれたら、もうそれだけで満足だから。
「···ゆっくり、慣れていこう?」
返事は聞こえなかったけど、胸にうずめた顔は赤く染まっていた。