捧げ物

□夜叉と
1ページ/3ページ





あの日





夜叉となった




それは何年も前に遡る。


先生が亡くなった。

それは銀時や小太郎、晋助にとって光が消えたのと同じだった。
三人にとって、何よりも大事な人。
吉田松陽。
彼は幕府にとっても、天人にとっても邪魔な存在だった。
幕府はその邪魔な存在を排除した。
つまりは殺したのだ。
無実の罪を被せて。
そんな彼が最後に銀時に残した言葉がある。
それは

『二人を頼みます、貴方は私にとってとても大事な息子です』

というものだった。
その言葉と最高の笑顔を残してくれた。
彼は、最後の最後まで子供たちに教えを説き続けたのだ。





先生が亡くなってしばらくたった。
そんなある日。
小太郎や晋助は戦争に出ると言った。
この頃、天人をこの国から追い出そうと、攘夷戦争が勃発していた。
国のために、幕府のためにと。
だがまだ子供だと、大人たちは反対していた。
だが二人の決意は固かった。
ならば、と
銀時は松陽先生に誓った。


二人を護る


と。




 
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ