捧げ物
□繋がれた枷
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俺には
誰にも言っていない
秘密がある
《繋がれた枷》
銀時は晴れ渡る空を見上げて、苦々しい顔をした。
今日は幸いにも神楽たちがいない。
昨日からお妙と一緒に旅行に出かけている。
俺も誘われたが断った。
そろそろあの日が来るから。
俺は誘われるかのように受話器を手にすると、ヅラに電話をかけた。
しばらく響くコール音に心地よさを感じていると、電話に出る音が聞こえた。
「貴様から連絡とは珍しいな、銀時」
ちょっと機嫌の悪いヅラの声に微笑んだ。
「……なぁヅラ、俺、先生の墓参りに行ってくるわ」
「……頭でも打ったか銀時、それにヅラじゃない桂だ」
機嫌が悪かったのが何処へやら。
怪訝そうにしているのが分かる。
「ただの気まぐれだっつうの」
基本俺らは命日にしか行かない。
あの人の墓には。
「気をつけるのだぞ」
ヅラらしい言葉に身体の力が抜けた。
「……じゃあな、小太郎」
それだけ言うと、電話をきった。