短編2

□雪を愛でる
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神楽たちが雪だるまを作るのに月詠も入り、やたらリアルな人間型雪だるまを作っていく。
人間の細部までこだわりを見せているのに、さりげなく銀時はひきつつ、昔を思い出していた。



それはヅラや晋助と一緒に遊んでいた幼少期。

雪での遊び方を知らなかった銀時に、それぞれが教えてやると言い張り、渾身の力作を作っていたときのこと。
二人が雪だるまやかまくらを作っているのを見て、先生に一度だけ聞いたことがある。
雪は溶けてなくなるだけなのに、何故このように何かを作るのか。
今思えば、こんなくだらないことを、先生はにっこりと微笑み教えてくれた。

「確かに雪は溶けてなくなります、だけど雪で遊んだその記憶は溶けることなく心に残ります、それだけでいいんじゃないですか」

あの頃の自分には分からなかったが、今では分かる。
その言葉を胸に刻みつつ、神楽たちが作る雪だるまを眺めていた。





先生、ようやく分かったよ





と、空に呟いて






 
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