短編2

□愛をください
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あまり寒くもなければ、暖かくもない。
そんな頃だった。
二人組の男だ。
そいつらは刀を持っていて。
それを見たとき、身体がピクリと震えた。
それが何だったのか。
今でも分からない。
だけど死にたくない。
その想いだけで刀を振り回した。
そのうちのいくらか当たったのだろう。
男の身体からポタリポタリと赤黒い色の液体が落ちる。
ここにいる間に見慣れた色。
俺は男が動かなくなるまで刀を振り回した。
それが初めて人を斬り殺したときだ。




あの日から一年。

日々人を斬り続けた。
そいつらは俺を鬼と呼ぶ。
感情がないのだと言う。
愛すべき何かのために、俺を殺そうとする。
では一体なんなのだろうか。
感情とは
愛とは




俺の足りないもの





それは一体




何?





 
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