捧げ物

□戦場の花
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今日も雨が降る


まるで
 哀しむかのように
雨は降り続ける


いつまでも
……いつまでも




大地に降り注いだ血が薄れていく。
人間の亡骸も奴らの亡骸も、同じように横たわっている。
そこに立つ一人の男。
白い髪に白い戦装束それを血に染めて立つ彼の姿は、この場に似つかわしく、美しかった。
それと同時に寂しかった。
「今日は何人が死んだんだ」
そんな声が、辺りに響く前に雨に吸い込まれていく。
その様子は儚げだった。
まるで消えてしまいそうなくらい…
そんななか、彼はゆっくり歩き出す。
何処かへ向かって。
それが何処なのかは彼だけが知る。





訪れたのは
所々刀の刺さった花畑だった





そこは墓のようだった。
「久しぶり…だな、最近は忙しくて来れてなかったしな」
そう言うと少しかがんで手をあわせていた。
何かを言いつつ…






(ごめんな…俺はまた守れなかった)
そう言いながら涙を流していた。
それを知るのは…
墓に眠る彼らだけ





            
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