短編2

□愛をください
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昔々
この小さい村に、一人の子供が生まれました。
ですが、生まれたその子供は銀髪に紅い目でした。
両親はそんな子供を気味がり、子供を閉じ込めました。
暗い、暗い、部屋の中に。
そうして子供が3歳になったとき、戦場へと捨てたのです。
我が子であるはずの子供を。
子供は何が何だか分かりませんでした。
生まれて初めて光を見て、生まれて初めて風に触れる。
そんな初めてのことに何故か胸の奥に、何かがひっかかった。
うろうろと足場の悪い場所を歩いていると、お腹がなりました。
何かを食べよう。
その思いで、地べたを漁った。
そうして出てきた一つのおにぎり。
それを必死で頬張った。




それから2年。

子供は当たり前かのように、戦場で屍を漁り、命を生き長らえていた。
そこに刀を手にした男が現れる。
それを躊躇いもなく斬り捨てていく。
その表情に迷いはない。
いつからだろうか。
こんなに人を斬れるようになったのは。




初めて人を斬ったのは一年前。
春だった。
春といっても戦場での春だ。



 
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