短編2
□さようなら
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“さようなら”
それはたった一言で全てを壊してしまう
日常も未来も……
「久しぶりだなァ、銀時ィ」
その日、銀時は依頼終わりの帰り道だった。
その途中で見かけたアイツ。
それは紅桜の一件で袂を別った高杉晋助だった。
「……何の用だ」
その一つの言葉にも緊張が走る。
銀時は足を止め、高杉をじっと見ながら木刀に手を置く。
「今日は殺りに来た訳じゃねぇ」
そう言いながらキセルをふかしている。
「じゃあ何のようで来たわけ」
「松陽先生が生きている」
高杉が呟いた言葉に、気が抜けた。
(今…何を…言った?)
あのとき。
まだ幼かった自分を助けるために、この世からいなくなった先生が。
「生きて……る?」
「そうだ」
未だに混乱している銀時に、高杉は語りかけた。
「先生を助ける……一緒に来るかァ?」
そう言いながら、高杉は手を伸ばした。
「先生は…どこに」
銀時の震えた口が、言葉を紡ぐ。
「幕府、だ」