短編2

□さようなら
1ページ/3ページ






“さようなら”





それはたった一言で全てを壊してしまう






日常も未来も……





「久しぶりだなァ、銀時ィ」

その日、銀時は依頼終わりの帰り道だった。
その途中で見かけたアイツ。
それは紅桜の一件で袂を別った高杉晋助だった。

「……何の用だ」

その一つの言葉にも緊張が走る。
銀時は足を止め、高杉をじっと見ながら木刀に手を置く。

「今日は殺りに来た訳じゃねぇ」

そう言いながらキセルをふかしている。

「じゃあ何のようで来たわけ」

「松陽先生が生きている」

高杉が呟いた言葉に、気が抜けた。

(今…何を…言った?)

あのとき。
まだ幼かった自分を助けるために、この世からいなくなった先生が。

「生きて……る?」

「そうだ」

未だに混乱している銀時に、高杉は語りかけた。

「先生を助ける……一緒に来るかァ?」

そう言いながら、高杉は手を伸ばした。

「先生は…どこに」

銀時の震えた口が、言葉を紡ぐ。

「幕府、だ」








 
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ