FLAME ROID

□episode1=灼熱の鋼鉄武人:第一話
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ー2012年8月某日ー

東京都内にあるとある二階建ての一軒家。
その家のリビングでテーブルに両手をつき絶望している青年が居た。

「やべぇ!やべぇ!超やべぇ!」

青年の名は山内悠灯(やまうちゆうひ)、この物語の主人公だ。
悠灯はこれでもかと言うぐらい汗を流し焦っていた。
何故彼がここまで焦っているのかと言うと、

「仕事が見付からない………」

そう彼は所謂無職というやつだ。
十九歳で学校にも行っていない為、フリーターという事になる。
いや、フリーターというよりニートと言った方が正解かもしれない。
すると、

「お兄ちゃん、どうしたの?」

悠灯は声のする方に振り向く。
そこに居たのは、

「あ、鈴蘭………」

山内鈴蘭(やまうちすずらん)、AKB48のチーム4のメンバーで、何を隠そう悠灯の妹だ。

「いや、ちょっとな………」

悠灯は仕事が見付からないのを何とか隠そうとする。
だが、

「仕事、見付からないの?」

鈴蘭は心配そうに聞く。
それに対して悠灯は、

「大丈夫だって!鈴は心配すんな。鈴は鈴で頑張れ!な?」

優しくそう言う。

「でも!」
「でもじゃない!」

悠灯は鈴蘭が言うのを遮る。
そして右手を鈴蘭の頭に置き、

「俺は大丈夫だから、鈴は安心してアイドル頑張れ」
「………うん」

鈴蘭はそう言うと荷物を持ち、

「じゃあ言って来るね!」
「いってらっしゃい」

悠灯は鈴蘭を笑顔で送り出すと、

「よしっ!俺も頑張りますか!」

そう言ってタウンワークを片手に家を飛び出した。





夕暮れ時、悠灯は肩をガックシと落としながら歩いていた。
どうやら、惨敗だったようだ。

「はぁ〜、不景気ってやつですかいな………」

そう呟きながらとぼとぼ歩いていると後ろから、

「キャー!ひったくり!」

そんな声が聞こえてくる。

「ひったくり?今時そんなの居るわけ………」

悠灯はそう言いながら振り返る。

「あるんだ………」

ひったくりは悠灯の方へ向かって来ていた。

「おいおい、何でこっち来るんだよ…!」
「どけぇ!邪魔だ!」

ひったくりはそう言いながら悠灯へと近付いていく。
だが悠灯は全く焦る様子もなく、ひったくりを待ち構える。

「ちっ!ぶっ殺してやる!」

ひったくりはそう言ってナイフを取り出し、悠灯を切り裂こうとする。
だが悠灯はナイフを左手で、
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