FLAME ROID
□episode1=灼熱の鋼鉄武人:第三話
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翌日の早朝6時に悠灯と雪斗は御茶ノ水にある、プロ野球球団の読売ジャイアンツの本拠地で、AKB48の夢の舞台でもある東京ドームに来ていた。
東京ドームのゲートや周りには既にAKB48関連の物が置かれていた。
「遂にみんなの夢が叶うんだな………」
雪斗は感慨深げにそう言う。
その隣で悠灯は、某仮面バイク乗り宇宙飛行士の決め台詞時のポーズを取りながら、
「ビ〜ッグエ〜ッグ!」
東京ドームの古き愛称を叫んでいた。
「お前、いつの時代の人間だよ………」
雪斗はそう言って呆れていた。
「え?東京ドームと言えばビッグエッグだろ?違うのか?」
未だにそんな事を言っている悠灯を放って、雪斗は東京ドームに入って行く。
「あ!雪斗待てよ!」
悠灯も雪斗の後に続き、東京ドームに入る。
「ほえ〜」
「でか………」
スタッフ専用のTシャツに着替えた悠灯と雪斗は東京ドームのアリーナ席に訪れ、その大きさに感心していた。
「こんなすげぇ所でやるのか………」
悠灯も漸く真面目な顔付きに変わり、そう呟く。
すると2人の下に戸賀崎がやって来て、
「お、2人共来たか。よし、じゃあまずはアリーナ席に椅子を並べてくれ。頼んだぞ」
戸賀崎はそう言うと、自分の持ち場に戻っていった。
「椅子並べか………」
「やってらんね〜」
「馬鹿野郎」
「いでっ!」
仕事に文句をつける悠灯に雪斗は軽く拳骨を御見舞いする。
「んな事言ってねぇでちゃっちゃっとやるぞ」
「へ〜い」
そんなこんなで、2人は作業を始める。
大分並べた頃、悠灯は椅子を補充する為にステージの方へと歩く。
するとその時、ステージのセットを組み立てていたスタッフからこんな声が聞こえてきた。
「あ!危ない!」
スタッフが誤って使っていた巨大な足場が悠灯に向かって落ちて来ていた。
「悠灯!危ない!」
雪斗がそう叫ぶも、悠灯には聞こえていないのか、悠灯はそのまま歩いていく。
このままじゃ足場が悠灯に直撃する。
雪斗は駄目だと思い、目を瞑る。
だがいつまでたっても、足場が地面に落ちる音や誰かの悲鳴等が聞こえてこない。
不思議に思った雪斗は恐る恐る目を開ける。
次の瞬間、雪斗は自分の目を疑った。
「なっ!?」
雪斗が目にしたもの、それは悠灯が巨大な足場をたった片手で、しかも見向きもしないでキャッチしていたのだ。
「危な………」