FLAME ROID

□episode1=灼熱の鋼鉄武人:第四話
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敦子の卒業公演から数日後、この日はチームK公演が行われており、勿論悠灯もスタッフとして参加していた。
公演終了後、悠灯は劇場のステージの掃除をしていた。
すると、不意に誰かに声を掛けられた。

「悠灯君!」
「ん?」

悠灯は声のする方に振り返る。
そこに居たのは、

「大島さん?」
「お疲れ様!」

優子だった。

「どうしたんですか?大島さん」

悠灯がそう聞くと、優子は全く関係の無い事を言ってきた。

「もう、大島さんって固っ苦しいって!優子で良いから!ね!?」
「じゃあ、優子さんで」
「それも固〜い!」

優子はそう言いながら膨れるも、笑顔になり、

「ま、いっか!」

そう言う。
すると悠灯は肝心な事を思い出した。

「ってか優子さん、何か用ですか?」
「ん?ちょっとお話ししたいな〜ってね!」
「はあ………」

そのやり取りから暫く沈黙が続く。

(聞いていいのかな………。う〜どうしよう〜)

優子は悠灯にある事を聞こうとしていたが、それを聞いていいのかどうか迷っていた。
何故なら、

(過去に何かあったかなんて、そう易々と聞ける事じゃないし………)

過去に何かあったのかは知らないが、悠灯は確実に何かを隠している事だけはわかっていた。
優子がそんな事を考えながら唸っていると、

「AKBって結構長いことやってるんですよね?」

悠灯がそう聞いてくる。

「えっ?まあそうだね」
「雪斗から聞きました。相当苦労してきたって」
「うん………」

正直あまり思い出したくない事だろう。
だがあれがあったから今のAKB48があると言っても過言ではないだろう。
だから決して、忘れちゃいけないことだ。

「日の目を見たのはいつ頃なんですか?」

悠灯がそう聞くと、

「三年前くらいかな?」
「三年前?」

悠灯は三年前という単語に異常に反応した。

「三年前に、何かあったの?」

優子は恐る恐るそう聞く。
すると悠灯はこう言う。

「俺が、まだ、自分の未来に希望を持っていた頃、そして、未来に絶望した頃、かな?」
「えっ?」

悠灯の言葉に優子は目を見開く。
すると悠灯は悪戯っぽい笑顔でこう言う。

「な〜んてね!信じましたか!?」
「えっ!?嘘なの!?」

悠灯がそう言うと、優子は心底驚く。

「そんなドラマみたいな話、あるわけないじゃないですか!」
「もぉ〜!」
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