バスケ部

□ 風邪日和
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「……あー……また負けたー」

「むっくん、弱すぎない?」

只今、絶賛テレビゲーム中なのだが一緒にやっている相手が弱すぎる気がする。

《……というか……何でむっくんが家に?》

本日、学校を休んだので同じクラスの紫原がプリント類を届けに来てくれたのはわかる。

《……何故、一緒にテレビゲームをしているのだろうか……私は……》

「んー……楽しくなーい」

ぽいっとコントローラーを投げる紫原にため息しか出ない。

「……私、病人なんですけど……」

「んー……知ってるー」

いきなり部屋に上がり込み、病人に「暇だからなんかして遊ぼー」と言ってきたのはどこのどいつだ。

ため息をつき、ベッドに入る。

「あれー? 寝ちゃうのー?」

「……だから、私は病人なんだって……。出口はそっちだから。じゃあね……」

早く帰ってくれと言う気持ちでドアを指差した。

「むー……じゃあ、俺も寝るー」

「はい?」

思わず起き上がったが、彼はベッドに潜り込んできた。

「い、意味がわからない! ってか、狭い!」

「んー? じゃあ、こうすれば狭くない?」

そう言ってぎゅーっと抱きつかれる。

「だから、意味がわからないって! 大体、ベッドとサイズが合ってないでしょ!?」

「別に気にしないし」

「おやすみー」と言って眠ってしまう紫原を唖然と見つめる。

「…………はぁ」

口だしてため息をついてみる。

離れようにも抱きつかれている状態なのでもう、眠るしかない。

《しょうがない……か。かなり恥ずかしい状態だけど……》

苦笑いをして紫原の頭を撫でる。

「ありがとね、むっくん」

「どういたしまして?」

眠っていると思っていた相手から声が聞こえた瞬間、ビックリしない人間などいるのだろうか。

「む、むっくん!? 起きてたの!?」

「ずっと起きてたよー」

紫原は口を弧の字にしてニッと笑う。

「顔真っ赤ー。かわいー」

ポンポンと頭を撫でられ、顔を隠すようにベッドに倒れ込む。

「んー? 寝るのー? じゃあ、俺も寝るー」

再び抱き締められた。

「もう、帰れ! むっくんのバカー!!」

思わずそう叫んだが紫原が帰ることはなく、気がつくと眠っていた。










(おはよー)
(……おはよ――って! むっくん!? 何で!?)
(あれー? 昨日からずっといたし)
(は、はぁ!? か、帰らなかったの?)
(ん? だって抱きつかれてたら身動きとれないし?)
(は、図られた!!)
(寝顔可愛かったよー)
(!?)
(風邪引いたときは俺が傍にいてあげるー)







――恥ずかしかったけど嬉しかった気持ちも当然あるわけで――












あとがき( *´ω`)σ


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