バスケ部
□君のこと
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この気持ちは甘い甘いお菓子のようで
でも実際は生クリームやチョコレートを食べた後の果物みたいに酸っぱい――
「好きって何?」
突然の紫原の言葉に黒子が首を傾げた。
「どうしたんですか? 紫原くん」
「……んー」
紫原の視線の先には一人の女子生徒。
彼が彼女を見つめているのには誰一人気がつかない。
いつもボーッとしている彼がまさか女子生徒を見るだなんてあり得ないと皆、自然に思っているからだろう。
「……赤ちんかー……」
彼女が見つめる先にはいつも、帝光中バスケ部のキャプテンである赤司征十郎がいる。
そんな彼女を赤司も時々気にかけているようだった。
赤司と彼女は幼馴染みで――恋人らしい。
最近知ったことだった。
「あーあ……」
天井を見上げ、ため息をつく。
《赤ちんには敵わないなー……》
諦められたらどんなに楽だろうか。
事実を知っていたら好きにはならなかっただろうか。
きっとどちらも無理だろう。
胸の辺りがムカムカする。
「……何か、苦しいし」
「食べ過ぎです」
隣で黒子が冷静な声で言った。
――甘くて酸っぱい想いは俺だけの秘密で誰にも教えない
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