バスケ部

□プレゼント
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早朝の図書室――






「……?」

何かが顔に触れた気がして目を開けた。

「おはようございます」

こちらを見つめる一人の少年。

「! く、黒子くん……おはよう?」

慌てて顔をあげ、髪を整えた。

「はい、おはようございます」

クラスメートである黒子がにこりと笑う。

「どうしたんですか? こんな朝早く……」

黒子が時計を見ながら首を傾げた。

「早く目が覚めちゃって早めに登校したんだけど……つい、寝ちゃってた」

苦笑いを浮かべると黒子も苦笑いをする。

「……黒子くんは?」

「ボクも……早くに目が覚めてしまって」

少し気まずそうな黒子を不思議に思う。

「……隣、いいですか?」

どうしたのか聞く前に黒子が尋ねてきた。

「え? あ。うん。どうぞ」

隣の椅子を引く。

ありがとうございます、と言いながら黒子は隣に座る。

「……予定ですか?」

手帳を広げたまま眠っていたようだ。

机の上には手帳やペン、読みかけの本が散乱している。

「来月の日程出てたから書いとこうと思って」

多少片付け、ペンを手に取った。

「あ」

「?」

「黒子くんって何月生まれ?」

そう尋ねれば黒子がポカンとこちらを見る。

「え?」

「ここで会えたのも何かの縁だし、教えてくれないかな?」

彼とは話す機会もあまりないのでただ、少し気になっただけだ。

《これを気に少しは仲良くなれるかも知れないし》

よし、と気合いを入れペンを握る。

「1月です」

「え!? 今月だったの?」

そう聞き返せば苦笑いで再び口を開く。

「……今日です」

「ええ!?」

唖然として彼を見つめてしまう。

「ど、どうしよう……何も持ってない……」

慌てて今日の持ち物を思い出すが大したものは持ってきていない。

「気にしないでください」

そんな様子を察してか黒子は笑顔で言った。

「でも……」

「……プレゼントならもう、いただきましたから」

小さな声で何か言われたような気がする。

「?」

首を傾げると黒子が首を振った。

「何でもないです。……でも」

ふと、こちらを見つめて笑顔を浮かべる。

「もし、頂けるのであれば来月の14日にチョコレートを下さい」

「え……」

ポカンと彼を見つめれば少し意地悪そうに笑われた。

「本命であれば、なお嬉しいです」

「っ……」

一気に体温が上がる。

「行きましょう。遅刻しますよ」

優しく笑う彼はすごく意地悪だと思う。













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