バレー部

□わざと
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「……っと」
「うぷっ……」

よそ見をしていたわけではないが思いきりぶつかった。

「ごめん、ぶつかっちゃっ――」

鼻を押さえてぶつかった人を見上げる。

明るい髪色、金よりは薄くクリーム色とでも言うのだろうか。

短髪のその人は感情のこもっていない茶色の瞳でこちらを見下ろしていた。

「巨人……」

小さな声でそう呟いた瞬間、彼の顔が険しいものになる。

「……はぁ? 君、何言っちゃってんの?」

《うわぁ……めっちゃ冷たい目で見られたー……》

「大体、ぶつかってきて何それ?」

「……えっと……」

当然のことを言われ、思わず俯く。

「まぁ、いいけど」

「いいんだ!?」

ばっと顔をあげると変わらず冷たい顔で見られていた。

「……ただで許してもらえると?」

「で、ですよねー……」

ははは、と苦笑いを浮かべる。

「……それ」

「?」

彼の目線は口に加えているこれに注がれているようだ。

棒つき飴――つまり、あれだ。

「何味?」

「え……? えっと、ストロべリークリー――ぶむ!?」

無理やり口から取られたので語尾がおかしな事になった。

「今回はこれで許しておいてあげる」

そう言うと彼は満足そうに去っていく。

「……へ?」

ただ、呆然と彼を見送ることしか出来なかった。










――タイミングバッチリ









『次は飴1つで済むと思わないでよね』














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