バレー部

□恋文
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「クロクロクローっ」

駆け足でバレー部部室に入る。

「うるせーぞ、聞こえてる」

文句を言う黒尾は面倒くさそうだ。

「大変なのっ」

目を輝かせながら彼を見る。

「何だよ?」

「ラブレター貰った!」

ジャンっと先程机に入っていた手紙を目の前に出した。

「……」

黒尾の表情が固まる。

「クロ?」

首を傾げて彼を見る。

「捨てろ!」

「え!?」

バッと手紙を奪い取り、立ち上がった。

「燃やすぞ! 今すぐだ」

「ええっ」

「研磨、ライター持ってこい」

偶然部室に入ってきた研磨がすごく嫌そうな顔をする。

「えー……二人のことにおれを巻き込まないでよ」

と言いつつ、どこからか取り出したライターを黒尾に投げ渡した。

「何でライター持ってるの!?」

「え。何となく」

答えになっていない答えを聞いてから再び黒尾に向き直る。

「ちょっ!? 返してー! クロー!」

今まさに火を着けようとしてた黒尾に体当たりした。

「飛び付くな! 危ねぇだろうが」

ジャンプしても黒尾が手を伸ばせば届くはずはない。

「まだ読んですらないのー!」

「……はぁ。煩い」

研磨が小さくため息をついた。













――誰かがお前に想いを伝える……そんなこと









『……絶対許すわけにはいかねぇんだよ』










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