バレー部

□ホールケーキ
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本日土曜。

今日も烏野高校男子バレーボール部は部活中である。

「あ。ツッキー」

昼休憩になった月島に声をかけた。

「……何」

不機嫌そうな月島に『じゃーん』と笑顔で言いながら箱を差し出す。

「……?」

不可解そうな顔をされた。

「プレゼントだよ! 誕生日でしょ、今日」

「……あ。まぁ、うん」

【忘れていた】というよりも【私に祝われる意味がわからない】というような顔だ。

「失敬な顔だな!」

「……元々こういう顔だよ」

素直ではないのは知っていたがここまでひねくれていたとは。

「それで……これ何?」

「ハッピーバースデイ! ツッキー! ショートケーキだよ!」

じゃーん、と箱を開ける。

箱の中には小さなホールケーキ。

「……へぇ」

満更でもないような様子を見て満足した。

「ちなみに手作りだ!」

その瞬間、彼の表情が固まる。

「……」

「おいしいよっ」

怪しんでいる月島にフォークでケーキを取り、口許に近づける。

「はいっ」

「……は?」

「おいしいよー」

ぐいーっとケーキを近づけていく。

「……」

観念したのか月島が口を開いてケーキを食べた。

「どう?」

「……うん」

指で口許に着いたクリームを拭う。

「美味しい」

「ホント!? やったぁ」

「もう一口ちょうだい」

「うん!」

片手で持っているケーキをフォークで一口分取り、月島に差し出す。

「美味しい」

「えへへ」

誉められて嬉しくなり、再びフォークでケーキを取っては月島へ差し出していった。









「……なぁ、あれ止めなくていいのか?」

「止めたかったかったら止めてこいよ、旭」

「むしろ止めてきてください、旭さん」

「落ち着け龍、イラついてんのはお前だけじゃない」

「なぁ、ノヤっさん達は何でイラついてんだ?」

「俺にわかるわけないだろ」

「あはは……」

「仲良いなぁ」

「……うん」











――誕生日おめでとう。








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