バレー部

□試合と眼鏡
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「これ」

「?」

試合前、月島から1つのケースを手渡された。

「預かってて」

ケース開けてみるといつも月島がかけている黒縁の眼鏡が入っている。

「眼鏡?」

「他に何に見えるの?」

馬鹿なの? とでも続きそうな勢いで言われる。

「ツッキーの眼鏡ーっ」

ケースから眼鏡を取り出した。

「あ。ちょっと」

阻止しようとする月島を交わして眼鏡をかけてみる。

《度きつっ!?》

くらっとして倒れそうになる。

「――っぶな」

咄嗟に月島が支えてくれた。

「ツッキー、こんなのかけてたら目が悪くなっちゃうよ!」

支えられながら月島を叱るように言う。

「……目が悪いからかけてるんだけど」

呆れ声で言われ、ため息をつかれた。

「とにかく、それよろしく」

「はーい」

ケースに眼鏡をしまう。

「ツッキー」

歩いていく月島を引き留めた。

「……何」

こちらを振り返った月島に笑顔で言った。

「絶対勝ってきてね」

月島は前を向き、気持ちを落ち着けるように息をはく。

「……当然デショ」

そう言ってから月島は歩き出した。












――君に持っていてほしい






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