魔法使い達の日々

□褒美
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「……うむ……こんなものか?」

鏡の前で自分の容姿を確認する。

「しかし……妙な格好じゃのう……」

我ながら生徒のようだと思う。

「あら? いつもの愚兄の格好より、だいぶ【マシ】でしてよ?」

妹のヴァニアが楽しそうに笑った。

「喧しいわ! 大体、何故わしがこんな格好を……」

「あの子と約束をしたからでしょう? あの子、相当頑張っていたんだから」

「わかっておるわい。……全く……」

ため息をつき、学長室を後にした。

















「……」

先程からそわそわと門の前を行ったり来たりしていた。

「どうしよう!? プーぺさん!」

門番プーぺに話しかけるが、プーぺは黙ったままだ。

《イヴァン先生……来てくれるのかな?》

多少不安になる。

昔、一度だけ見たことのある、イヴァンの青年姿とヴァニアの少女姿。

大好きだった先生達のまさかの姿に思わず、イヴァンに駆け寄って言った。

『私が最高魔法士になれたら、その姿で一緒に出掛けてくださいっ』

何とか了承され、この数年でがむしゃらに頑張り、何とか合格した。

そして今日、出掛ける約束をした。

「変じゃないかな? 寝癖とかは――」

「何をしているのじゃ?」

「っ!!?」

後ろから呆れ声がしたので慌てて振り返った。

「い、イヴァン先生……」

振り返った先には青年の姿をし、年相応の格好をしたイヴァンがいた。

《か、かっこいい……!》

何も言えないほどに、かっこよかった。

「……やはり、変かのぅ」

何も言えず、固まっているとイヴァンがため息をついた。

「そ、そんなことないですっ! すっごくかっこいいです!」

力強くそう言うとイヴァンがフッと笑った。

「では行くか」

手を差し出され、戸惑いながらもその手を取る。

「今日は1日お主にやる。好きなところを回るが良い」

「はい!」

笑顔で元気よく、頷いた。




















――恋人同士に見えるのかな……



――たまにはお主と肩を並べ、歩くのも悪くない……





















『また、一緒に出掛けてくれるかの?』



















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