王子達と日常

□ヤキモチ
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「…………」

「……おい」

「……! な、何? 蘭くん……」

慌ててテレビから視線を反らし、蘭丸を見た。

見ただけで不機嫌なことがわかる。

「蘭くん?」

「……」

不機嫌そうにテレビ画面を見つめる蘭丸に釣られ、再び画面に視線を移す。

テレビの中では若手俳優である青年が迫真の演技をしていた。

《やっぱり、可愛いなぁ》

笑顔が印象的な彼はシャイニング事務所所属ではないが、大手事務所所属の俳優だ。

最近、女の子達に人気がある。

不機嫌そうに画面を見る彼に思わず苦笑いをする。

「蘭くんはどう思う?」

「…………別に」

テレビを消して席を立って、こちらに背を向け座り、ベースを弾き始める彼の近くに行く。

「…………蘭くん?」

「…………」

「……もしかして……ヤキモチ?」

そう聞いた瞬間、ベースを手離した蘭丸に抱き寄せられた。

「…………ヤキモチなんか妬くかよ……バカが……」

言葉とは裏腹に優しく抱き締める彼に思わず微笑んでしまう。

「ごめんね、蘭くん……」

「……謝る意味がわかんねー」

ぎゅっと蘭丸に抱きついた。

「ふふっ。蘭くんが一番、大好きよ」

「……バーカ」

照れくさそうにそういうと、より一層、抱き締められた。
















――貴方のことが一番大好き






――そんなのわかってんだよ、バーカ












(あ。ランラン、あの子が最近人気の俳優さんらしいよ〜)
(…………)
(ら、ランラン、睨んじゃダメだよっ!? ほ、ほら、怖がってるじゃんっ! ってランラン!? どこ行くのっ!?)
(……一言ガツンと言ってくるんだよ)
(なんで!? だ、ダメだからね!?)








――ある意味ライバル












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