光の奏でる旋律
□00 プロローグ
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レイがドアを開けると、休み時間でざわついていた教室が急にシーンとなる。
慣れたことで、気にせず自分の席につき、隣の男子にニコやかに挨拶をする。
「田辺くん、おはよう」
「お、おはよ…う……ございます」
小さく挨拶を返して、田辺くんはそそくさと席を立ち、その場から離れた。
明らかに恐れられている風だったが構わず微笑み、授業の支度をする。
「あぁーあ!いいデスね〜!レイは!
好きなだけ寝て好きな時間にご登校とは!そんなに自由が好きならさっさと高校なんてやめちゃえばぁ〜?」
突然、教室の一角の女子溜まりの中心から、攻撃的な声が飛んできた。
よくあることなので、特に反応もせず、支度を続ける。
「ちょっと!あの態度みたぁ〜?何様のつもりよ、あれ!?
アタシがミンナに怖がられてるレイを気遣って助言までしてあげたっていうのに、無視とかナニ?
マジあいつ要らなくない?」
「だよねぇー!暴力で散々ヒトサマをいじめてきたやつがねー!」
「今更猫被ってかわい子ぶってぇー。うける!」
クラスの親玉的存在の女子の言葉に取り巻きが賛同する。
その他の女子や男子もレイを庇うでもなく、自分は関係ない風を装っている。
そもそも、その人たちもほとんど毎日同じようないじめを繰り返して、飽きないのだろうか…?
自分がからかわれているのに、一人客観的に思っているレイであった。
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