光の奏でる旋律
□03 才能
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少々険悪な雰囲気のまま、アッシュと2人で食事を済ませ、昨日と同じ訓練場までやって来た。
「今日は俺がお前の指導を任された」
「え?アッシュが教えるの?」
かなり不安そうにリートが尋ねる。
アッシュは声を低くして答えた。
「…なんだ。何か問題でもあるのか?」
「いえ!なんでもありません!……よろしくお願いします」
「ふん、屑が…しっかり覚えろよ。俺も自分の稽古がしたいんだ」
「…アッシュが教えるのうまければね」
「お前の飲み込みが速ければ問題ねぇ!さっさと始めるぞ!」
数時間後―――
「……双牙斬!崩襲脚!」
訓練場の人形に次々に技を決めていくリートの姿があった。
(基本とはいえ、たった半日足らずで覚えてしまうとは…)
「アッシュー。コレあってるー?」
「俺の2年間がぁー……」
「何か言った?」
「なんでもねぇ!」
これが才能の違い、というものなのだろうか。
戦闘訓練が初めてだというのに、少し指導しただけで完璧に覚えてしまったのは、なんだかやりきれない。
……世の中、あまりにも不公平だ。
リートは汗を拭って、アッシュに持ちかけた。
「ねぇ、アッシュ。そろそろお昼にしない?わたし、お腹空いちゃったぁ」
「…そうだな。食堂に行くか」
「……アッシュ、なんか元気なくない?どしたの?」
「屑に心配される覚えはねぇ」
「その屑って呼ぶのやめてよ…何気に傷つくんだけど」
「知るかっ」
2人して不機嫌な雰囲気を出しながらも、また食堂へ向かった。
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