光の奏でる旋律
□03 才能
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お昼の時間を少し過ぎていたので、食堂に人はまばらだった。
食堂のカウンター席でアッシュと並び座り、食事にありつく。
食堂のおばちゃんから男の子だと思われていたのは、今朝アッシュが訂正し、昼は特にオマケもつくことなく普通の食事だ。
今日の昼御飯はオムライスだった。
随分家庭的だなぁ、とは思うが、これも預言に定められていたんだろうか。
いつだか誰かが預言は夕飯の献立まで決めてる、みたいなことを言っていたが。
……いや、おいしいから別に預言で決められててもよくね?
それは、不味い御飯が預言で決められてたら腹立つけど、おいしいからいいんじゃないかな…?
それにしても…
「オムライス……おいしいね……」
「は?何言ってやがんだ」
あ、思わず声に出してしまっていた。
この際だし、聞いてみようかな?
「預言、ってさ。このオムライスのおいしさも決めてるんでしょ?
でもさ、こんなにおいしいものが預言で決められてるんなら、預言って悪いものでもなくない?」
「はあ!?そういうことじゃねーだろ!
てめぇの脳ミソは鳥並みか!?」
オムライスを頬張りながら言われてもねぇ…
しかも、鶏に鳥とか言われたし…!
「それほどまでに預言は人間の生活を支配してるってことだよ!
それに、人の人生を決めてることの方に注目しろよ!!献立のことに注目するなっ屑が!!」
「あー!また屑って言ったぁ!
この頭でっかちの鶏めっ!!」
「なっ!?に、鶏!?
上等だ!屑!表ぇ出ろ!!」
いつの間にか喧嘩に発展しているが、両者ともにオムライスを食べる手は休めないのはご愛嬌。
その場で取っ組み合いになりそうだった喧嘩に制裁を加えたのは、食堂のおばちゃんの一喝だった。
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