闇茜の天使
□T ReBirth
1ページ/4ページ
いつもと変わらない時間に、いつもと変わらない道。
いつもと同じように、いつもと同じ友達と帰る。
唯一いつもと違うことと言えば、今日がどしゃ降りの雨の日、だということ。
だが、今朝見た天気予報のお蔭で、午後から突然降りだした雨にも対処できている。
普段となんら変わりもしない日
いつもみたいに友達とたわいもないお喋りをしながら、登下校時には必ず通る交差点に差し掛かる。
雨で霞んだ前方に、かろうじて歩道の青信号が見えた。
「あ、ちょうど青信号みたいだ」
「ホントだ。渡ろ渡ろ」
先に横断歩道を渡りだした友人の後に続き、私も道路に足を踏み出す。
突然。
キィ―――!!
何かが擦れるような音に少し遅れて、全身に感じる衝撃。
友達が呼んだ私の名前が遠くに聞こえた。
そうだ。もう1つ、いつもと違うことがあったんだ。雨以外にもう1つだけ。
視界に見えたのは、怯えた様子の友達と、雨。
私を呼んだ震える声は雨の音にかき消され、聞こえなかった。
私を轢いただろう車は視界には入らなくて
体の痛みが消えると共に、私の意識は闇に沈んだ。
.