光の奏でる旋律

□03 才能
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『や、やめろぉ!!やめてくれ!!』



真っ白な空間にひどく情けない声が響いた




だんだんと視界がはっきりとしてくる




辺りは夜も更けた闇夜の橋の下


絵に描いたような不良が
絵に描いたような場所で
絵に描いたように人質をとっている



伏せていた人質の顔があげられて、これが夢なのだと気付いた



だって、あの顔はもう二度と会わないって決めた顔だから








『そいつは…関係ないだろ!!』




最初と同じ自分の声





まったく、なんて情けない声だしてんだろ




やめてくれだなんて、関係ないだなんて




そんなこと、無駄だってわかってるくせに




まだ叫ぶんだ












『ヘヘっ!流石の萩野も人質がいたら、手も足もでないってか?』



『そんなにコイツが大事なのかねぇ』







ボコッ








『やめろっ!!』









ハハッまだやめろって言ってるよ


……もう黙っててくれるかな、昔の自分



その後のことなんて、言われなくても覚えてるよ












まもりたいなら


あばれちゃえばいい












そんなこと、本気で実行するやつがあるかよ










『――――レイ』









あぁ、あなたは恨んでるんでしょうね


あそこで暴れなければあなたは何ともなかったのに










『レイ』




わたしが関わらなければ、あなたは何ともなかったのに


















何も護れない力なんて無意味


ううん違う

最初からわかってたんじゃない?





力なんかに元々意味なんかない













だから

力に

わたしに

存在の意味を持たせる為に




















わたしは決めた






次は絶対まもる



って






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