光の奏でる旋律

□06 譜術を習おう!
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カンッキーンッ


「そこまで!」



場内に制止の声が響き渡り、互いの剣をぶつけ合っていた2人がその剣をひいた。


「2人とも、中々良いぞ。剣筋にキレが出てきている」


ヴァンはそう最初に言って、次に細かい点を指導した。

アッシュもリートもこればかりは真面目に聞く。



「ところでだリート、剣術をはじめて2週間になるが、基本は全て教えた。
リートさえ良ければ、次は譜術を教えようと思うのだが」

「あ、やりたい!」

「第七音素の素質もあったから、治癒士にもなれるかもしれないな。
アッシュはどうする?」


ヴァンがいつも通り眉間に皺を寄せているアッシュに聞く。


「俺は…別に…」


なぜか答えに詰まるアッシュ。
リートの知る限り、彼はアイシクルレインやエクスプロードなどの譜術攻撃が使えるはずだが、この頃からもう使えるのだろうか?


「アッシュって譜術使えるの?」


ピクッと彼の眉が動いた。


「な、なめるな」

「……」

「へぇ〜!使えるんだぁ〜
何が使えるの?」

「「……」」


なぜそこで、2人して黙るんだ?


「アッシュ?
………もしかして、譜術使えない、とか?」

「使えないんじゃねぇ!使わないだけだ!」

「じゃあ、やってみせてよ」


リートが訓練用の人形を示す。

アッシュは舌打ちしながらも詠唱準備に入り、ヴァンは黙ってそれを見ている。


「氷の刃よ。降り注げ…アイシクルレイン!」


第四音素譜術が発動され、人形が弾ける。だが…





「つまり、アッシュは譜術が苦手だ、と」

「…そういうことだな」


譜術の威力は可哀想なくらい微々たるものだった。

当の本人は羞恥からか憤怒からか、顔を真っ赤にしている。


「うるせぇ!!譜術なんて、必要ねぇから練習してないだけだ!」

「だが、もう少し威力はつけたほうが良いぞ?」

「うっ…」


ヴァンに言われ、アッシュも言葉に詰まる。


今の時期でこの威力だったなら、2年後のアイシクルレインは素晴らしいものだ。

アッシュも努力してるんだなぁ…



「では、アッシュも稽古をつける、ということで良いな?」

「…あぁ」

結局、譜術の稽古も2人でつけることになった。






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