光の奏でる旋律
□16 悩める少年少女とか
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ルークに引っ張られること暫く。
皆さんこんにちは。何度も脱走を試みたけど、その度にジェイドに脅されたりイオンに諭されたりして未だ逃げ出せずにいるリートです。
ジェイドはともかく、イオンに諭されてはイヤとは言えないのだが、それでもやはり懲りずに愚痴ってます。
「私を捕虜にしておく理由は何?もうタルタロスから随分離れたし、逃げる為の人質は必要ないよね?こんな戦えない人質を連れといて、ただの足手まといでしょ?だから逃がして」
「……しょうがないですね〜」
「!! マジで!?」
「なーんて言うとでも思いましたか?」
「……コロス」
「すみませんリート、僕のせいで迷惑をかけしてしまって……」
「そんな!イオン様は悪くないですよ!悪いのは全部この陰険眼鏡です」
「人聞きが悪いですねぇ。今、あなたを拘束しているのはこのルークだというのに」
「俺に話を押し付けんな!」
「よしルーク、後で覚えとけ」
「お前も乗せられんじゃねーよ!」
「(逃亡中なのに、こんなに騒がしくて良いんだろうか?)」
剣は取られていないが、腕ごと体を拘束されているので剣には頼れないし、譜術で対抗しようにも、そんな隙はない。
足で戦うか?どっかの肉球フェチ財閥会長じゃあるまいし。それにたとえ逃げ出せたとしても、この格好でタルタロスまで戻るとか、恥ずかしいからヤダ!
結局は大人しくついて行くことにしたのだが……アッシュになんて言い訳しよう…
心の中で後々のことを思い落胆していると、突然イオンが膝をついた。
「イオン様!」
「おい、大丈夫か」
ティアが真っ先に駆け寄り、イオンを支えた。ルークも普段の我儘っぷりからは想像もできない優しい声音でイオンを気遣う。ルークって、イオンには優しいよね。
気遣われたイオンは肩で息をして、顔色も悪い。かなり辛そうだった。
「少し休みましょう。このままではイオン様の寿命を縮めかねません」
ということで、一行は道の途中で休憩を取ることになった。
これまでの経緯をガイに話し、流れは自己紹介ムードへ。
「……ひっ」
「……」
「…ガイは女嫌いなんだ」
「というよりは女性恐怖症のようですね」
「わ、悪い……。キミがどうって訳じゃなくて……その…」
「私のことは女だと思わなくていいわ」
ガイの女嫌い…否、女性恐怖症コントを見学させてもらった。
ティアが一歩近づき、ガイが一歩下がり…という応酬は見ていて面白いのだが、自分も似たようなことが以前あった分、あまり馬鹿にはできない。
私はアッシュのお蔭でトラウマは克服できたけど、ガイはどうなんだろう?まずは原因がわからなきゃ始まらないけど、要は気持ちの持ち様で大きく変わるものだ。
いろんな思いを込めて、ガイに力強く頷いて見せたが、当の本人は不思議そうな顔でこちらを見返してきた。
「そういえば、キミは……」
あ、名乗らなきゃいけない雰囲気だ。
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