大きな陽だまり

□プロローグ
1ページ/1ページ







自分が落ちていくのがわかる。




ゆっくりとゆっくりと、このまま落ちていったら、最後はどこにたどり着くのだろう





辺りにはただ無尽蔵の光と闇しかない。

















不意に、動かない青年が自分を追うように降りてきた。


まだ温かい体をしっかりと抱き止める。

(アッシュ――こんなになるまで戦って…)

抱いた彼の体には数本の剣が刺さった傷が、痛々しく残っていた。




















今度はローレライが温かい光となって、姿を現す。





――世界は消えなかったのか……私の視た未来がわずかでも覆されるとは……驚嘆に値する……







解放された光が凄まじい輝きを放って、空に昇っていった。


















2人は、まだ降下し続ける。



いったいどこまで落ち続けるのだろうか…


その最後を自分は見ることができないのかもしれない


身体中の音素が希薄になっていく。






………おかしいな…こんな時にもまだ生きたいだなんて思ってしまう

自分の役目はもう終わった

ただ消えるのを待つだけの存在だというのに


もう少し、仲間と、生きていたかった――













――……必ず帰ってきて。必ず。必ずよ。
待ってるから。ずっと。ずっと……





ティア――
ごめん…約束…守れないかも……









俺、もうすぐ消えるから
















『―――』






誰かの声が聞こえたような気がした。









『――消えないで――』




『――2人が消えるのなんて、おかしいよ――』




『――2人で……ふたりで、生きて帰らなきゃ…!――』










アニスでも、ナタリアでも、ティアでもない

誰か、女の声。








『――ローレライの……





馬鹿ぁぁああああ!!――』











………












ルークは目を閉じた







.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ