大きな陽だまり
□第二話
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さて…どうしようか?
例の怪しいコスプレ2人組を介抱し始めてから3時間。一向に起きる気配はない。
今は上着だけ脱がせてリビングに寝かせてある。
とりあえず、買ってきたお握りを夕飯として食べ、風呂にも入って、一先ずは落ち着いた。
後は寝るだけなのだが、どうもこの2人を放っておいて眠る訳にはいかない。2人が起きるまで、自分も起きてようと思った。
「夜中に起きて、何かされたら困るし…」
借りてきた本を読みながら、2人が起きるのを待つ。
本を一冊読み終わって、ふと顔をあげると、時刻は日を跨いで2時になっていた。2人は微動だにしない。
……仕方ない、寝よう
これ以上起きてても無駄だと判断し、秋那は寝ることにした。
それでも一応警戒はしたいもので、布団を自室から引っ張ってくる。
ソファーに丸くなって、秋那は眠りについた。
暑さによる不快感で、秋那は目を覚ました。
時計の短針が指すのは、8、長針が指すのは12。つまり、8時だ。
クーラーを適当につけて2人を覗き込むと、暑い中で眉1つ動かさず、まだ眠っていた。
その寝顔をまじまじと見つめる。
赤い髪に端正な顔立ち…本当にテイルズオブジアビスのルークとアッシュにそっくりだ。むしろ、非現実的だとわかっていても本人だと疑いたくなるくらい。
気づけば、あの旋律を口ずさんでいた。
「トゥエ レイ ズェ クロア リュオ トゥエ ズェ――」
譜歌だ。
ティアのように綺麗には歌えないが、何かに導かれるように、旋律を紡ぐ。
「――レイ ヴァ ネゥ クロア トゥエ レイ レイ」
やっぱり良いメロディーだなー。こう、心に染みるって感じで。
突然、視界が切り替わった。
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