光の奏でる旋律
□03 才能
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「―――イ!オイ!起きろ!!」
「う、ん?あーしゅ?」
「アッシュだ!」
耳元で怒鳴る声が聞こえて、リートは目を開けた。
少し心配しているような顔のアッシュが除き込んでいて、寝起きの回らない舌で名を呼ぶと、怒られた。
彼も学んだらしく、リートには触れなかったようだ。
「どうした?やけにうなされていたが」
あーそっか、心配してくれたんだね。優しいなぁ、アッシュは。
それを言うと問答無用で殴られそうだから言わないけど。
「んー………ヴァンに追っかけられる夢見た」
「……」
何とも言えない顔をするアッシュ。
心配して損した、なんて思っててくれるかな?……まだ本当のことをわたしは言えないから。
「…早く支度をしろ」
「うん?どうかしたの?」
「ヴァンに頼まれた。今日も迷子になられたら困るからな」
「はい……」
「それと!!」
アッシュがいきなり大声を出した。
ちょうど、リートが起き上がった時だった。
「ローブくらいちゃんと着ろ!!」
…顔が真っ赤なのもそのせいか。
見れば、昨日着方がわからなくて適当に巻いたローブがはだけている。別にない胸が見えてる訳でもなかったが、彼には衝撃的なことらしい。
それでも、うなされた自分を心配して起こしてくれたのは嬉しいことだった。
「ごめんごめん。じゃ、着替えるから、取り合えず外に出てて?」
とアッシュに伝えれば、彼は更に顔を赤くさせながら出ていった。
なぜそこで赤くなる…
リートはさっさと着替えを済ませ、アッシュと食堂へ向かった。
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